2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子の油中ナノ分散化技術を利用した新規経皮デリバリーシステムの開発
Project/Area Number |
09J02511
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田原 義朗 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ドラッグデリバリーシステム / ナノ粒子 / 界面活性剤 / エマルション / 細胞毒性 / 細胞導入 |
Research Abstract |
経皮免疫法とは抗原を皮膚から投与し、体内の抗原特異的な免疫力を増強・記憶させ、以後その病気にかかりにくくする塗り薬型のワクチン療法である。申請者は過去の研究で独自の油状ナノ分散化技術を利用して、タンパク質を油状基剤中に分散させ、経皮浸透性が向上することを確認した。そこで申請者は当該年度の始めの2年で独自の発想に基づいた高性能な新規細胞デリバリー用キャリアを作成し、このキャリアを現在の技術によって油状基材中に分散させることで上記目標を達成することを考えた。ここで新規細胞デリバリー用キャリアとは、確立済みの油状ナノ分散化技術を応用し、内封物の周りを界面活性剤によって二重に被覆したキャリアである。この新規キャリアは超音波等によって自己集合的に脂質二分子膜を形成しているリポソーム等に比べて、薬物内封率や安定性の飛躍的向上が期待できる。本年は構想したキャリアが細胞デリバリー可能なものかどうかを確認するために、まず細胞毒性の無い界面活性剤の探索をした。そして以前から用いていたショ糖脂肪酸エステルの誘導体は細胞毒性が高く、細胞デリバリー用キャリアの構成成分には不適切であることが分かった。しかし同時に細胞膜の構成成分であるホスファチジルコリンは細胞毒性が低いことを見いだした。さらにこのホスファチジルコリンによって、新規細胞デリバリー用キャリアを調製することに成功した。またキャリアの粒子径を小さくするためにソルビトールを添加剤として用いれば、粒子同士の凝集を防ぎ、100-300nmの球形の粒子が調製できることを確認した。このキャリアは将来的に経皮デリバリーだけでなく遺伝子デリバリー担体やターゲティング素子などへの応用も期待できる。さらに疎水性の物質でも親水性の物質でもキャリア内部に封入することができるため、溶解性の異なる物質同士を同時に生体へ投与することができる点でも興味深い。
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Research Products
(4 results)