2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子の油状ナノ分散化技術を応用した高効率経皮免疫システムの創製
Project/Area Number |
09J02511
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田原 義朗 九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ドラッグデリバリーシステム / ナノ粒子 / 細胞導入 / 遺伝子デリバリー / エマルション / 界面活性剤 / エンドソーム脱出 |
Research Abstract |
経皮免疫法とは抗原を皮膚から投与し、体内の抗原特異的な免疫力を増強・記憶させ、以後その病気にかかりにくくする塗り薬型のワクチン療法である。過去の研究で申請者は独自の油状ナノ分散化技術を利用して、抗原を油状基剤中に分散させ、経皮浸透性が向上することを確認した。そこで申請者は当該年度の始めの2年で独自の発想に基づいた高性能な新規細胞デリバリー用キャリアを作成し、このキャリアを現在の技術によって油状基剤中に分散させることで上記目標を達成することを考えた。今年度、申請者はこの新規キャリアに遺伝子を封入し、細胞デリバリーを行い、遺伝子発現効率の上昇を確認した。具体的には、アガロースゲル電気泳動によって遺伝子の粒子への封入を確認し、さらにキャリア崩壊剤(Triton X)の添加によってキャリアから遺伝子が出現することを確認し、遺伝子を封入したキャリアの作成に成功した。さらに申請者は、細胞膜相互作用のあるオリゴアルギニンや、エンドソーム脱出効果のある疎水性のDOPEといった分子をキャリアに修飾し、ルシフェラーゼアッセイによって遺伝子単独よりも1000倍以上の遺伝子発現の上昇を確認した。これによって遺伝子は新規キャリアに封入されることで、細胞の内部にデリバリーされ、エンドソーム脱出などの適切な経路をたどることで、細胞質や細胞核への遺伝子の送達が可能であることが示唆された。また以上の結果より、この新規キャリアは将来的に経皮デリバリーだけでなく遺伝子デリバリー担体やターゲティング素子などへの応用も期待できることが、より明確に示唆された。さらに疎水性の物質(例えばDOPEなど)でも親水性の物質(例えば遺伝子など)でもキャリア内部に同時に封入または修飾することができるため、溶解性の異なる物質同士を同時に生体へ投与することができる点でも大変興味深い。
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Research Products
(7 results)