2009 Fiscal Year Annual Research Report
希土類付活アルカリ土類シリケート結晶化ガラス蛍光体の創製とその特性評価
Project/Area Number |
09J02536
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中西 貴之 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 蛍光体 / ユウロピウム / 還元 / 光電流 |
Research Abstract |
本研究目的は、高出力白色発光ダイオード(LED)用の蛍光体材料としてのEu添加のアルカリ土類珪酸塩結晶化ガラスの材料設計と開発を行い、その発光特性を明らかにするものである。具体的にはEu_<2+>蛍光体の蛍光特性の解析手法として、Eu価数や電子構造を評価する新規の測定法フローズン・ソルベを考案し、それを実証することで新規Eu蛍光体開発の材料設計に強力な指針を示すことに成功した。革新的な作法の確立を目指した新規機能性を有する結晶化ガラスの創製・制御する試みは、後続の材料分野の研究分野にも大きな進展と可能性を生み出し、社会的な貢献度が非常に高い研究と言える。また、メスバウアー分光を用いた実験では、Eu蛍光体の量子収率は蛍光体中のEu_<2+>量の変化に対し、指数的な増加を示し、発光効率への寄与が支配的であることを明らかにした。また、雰囲気制御により作製したβ-Ca_2SiO_4中のEu^<2+>比率と量子収率の相関を示した。またCa_2SiO_4:Eu結晶は添加するEuの2価の比率が90%を超えるとβ相からγ相に相転移し量子収率が低下し、微量添加のEuの価数変化がホスト結晶の相変化に大きな影響を与える珍しい現象を報告した。 購入した微小電流計を用いて、蛍光体に流れる光電流を測定した。Eu_<2+>の励起状態は母体の伝導帯と重なりを持つため、発光の消光原因となることが議論されてきた。本研究ではEu_<2+>の光伝導特性を調査することで実験的にそれを示した。光電流量の励起波長依存性は、Eu_<2+>の励起スペクトル形状と一致し、明らかな相関と励起電子の母体伝導帯への寄与が証明された。 このように本研究は、新規の蛍光体の創製および蛍光体物性を明らかにする手法の確立を行うなど期待したとおりの成果を挙げた。
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