2009 Fiscal Year Annual Research Report
運動後の骨格筋糖輸送促進のメカニズム解明 AS160の調節と役割
Project/Area Number |
09J02537
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
豊田 太郎 Tokyo Metropolitan University, 人間健康科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 糖輸送 / 骨格筋 / AMPキナーゼ / 運動 / 細胞内情報伝達 / インスリン / AS160 / 糖尿病 |
Research Abstract |
運動後には骨格筋のインスリン感受性が高まり、その効果は48時間以上にわたって維持される現象が観察されている。これまでインスリンと運動(筋収縮)の細胞内情報伝達経路は全く異なると考えられてきたが、この所見は、いずれかの位置で両者がクロストークしていることを強く示唆している。この可能性を検証するために、AS160という分子に着目した。AS160はインスリン刺激時にAktによってリン酸化されることが見出された分子で、グルコーストランスポーター4(GLUT4)の細胞膜表面へのトランスロケーションを媒介する機能を持つ。申請者は、リン酸化・プロテオミクス解析を用いて、AS160の既知リン酸化部位(PAS抗体認識部位)以外の、新規リン酸化部位を多数同定した。これらの新規リン酸化部位におけるインスリンおよび運動刺激によるリン酸化の様相を解析したところ、それぞれに特異的なリン酸化パターンが確認された。つまりAS160は、インスリン刺激によっても運動刺激(筋収縮刺激)によってもリン酸化され、何らかの役割を果たすと考えられる。したがって、AS160は、これまで未発見であったインスリンと運動の細胞内情報伝達のクロストークを形作るキー分子として働く可能性が考えられる。骨格筋における運動後のインスリン感受性の亢進がAS160のリン酸化およびそれにともなう機能亢進によって説明されるならば、糖尿病治療の新たな標的分子となる。
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Research Products
(1 results)