2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02545
|
Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
金井 雅武 The Graduate University for Advanced Studies, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 遺伝学 / 脂質 / 植物 / バイオマス / マイクロアレイ |
Research Abstract |
本研究の目的は種子貯蔵脂質の(1)分解、(2)合成を制御する分子機構の解明である。 (1)脂肪性種子植物は種子に貯蔵脂質を蓄積し、それを分解することで発芽のエネルギーを獲得する。休眠解除と貯蔵脂質分解が同時期に行われることで植物は健全に発芽、生長することができ、共通した制御系の存在が示唆されているが実態は明らかでない。種子貯蔵脂質の分解を制御する因子であるペルオキシソーム膜上の脂肪酸輸送体PED3の欠損変異体は発芽不全を示す。ped3変異体をマイクロアレイ解析に供したところ、種子休眠を制御する植物ホルモンであるアブシジン酸のシグナリングに関与する転写因子.ABI5の発現が上昇していた。ped3変異体におけるABI5の関与を明らかにするため、ped3abi5二重変異体を作成した。ped3は発芽不全であるものの、ped3abi5二重変異体は正常に発芽することから、PED3は発芽時においてABI5の発現抑制に必要であり、発現抑制されることで種子の発芽が進行することを示した。この結果は種子貯蔵脂質の分解系が休眠を制御するという新規な制御機構の存在を示している。この制御機構は植物が休眠解除と貯蔵脂質分解を同時期に行うための戦略あると考えられる。 (2)植物種子中の脂質含量を制御することは産業的に大きな価値があるものの、その制御因子はほとんど明らかになっていない。種子中の脂質含量を制御する遺伝子を明らかにするために種子の貯蔵脂質含量が変化したシロイヌナズナ変異体の選抜を行った。変異体H1の種子は脂質含量が低下し、タンパク質含量が増加していた。この結果はH1の原因遺伝子は種子中の脂質とタンパク質の割合を制御する働きを持つことが示唆される。H1のさらなる解析により、種子中の脂質含量を制御する機構の解明に貢献できる。
|
Research Products
(3 results)