2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02545
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
金井 雅武 基礎生物学研究所, 高次細胞機構研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 種子 / 貯蔵脂質 / 貯蔵タンパク質 / 遺伝学 |
Research Abstract |
本研究の目的は種子貯蔵脂質の分解、合成を制御する分子機構の解明である。植物種子中の種子貯蔵脂質の量的な制御機構の解明は盛んに研究されている。種子貯蔵脂質合成に関与する遺伝子は数多く存在し、多数報告されているものの、種子貯蔵脂質の量を制御する遺伝子の報告は数少ない。 21年度に引き続き、種子の脂質含量が変化した変異体を選抜した。脂質含量が増加した変異体をL変異体、低下した変異体をH変異体とした。L1変異体の原因遺伝子(以下L1遺伝子とする)をTAIL-PCR法により決定したところ、カルシウム結合タンパク質の1つであり、新規の遺伝子であった。L1変異体では1つのさやあたりの種子数が減少すること、さらに種子の形態に異常を示すことが明らかになった。またL1遺伝子は種子形成期において強い発現が確認された。以上よりL1遺伝子は種子の脂質含量と形態を制御する新規の遺伝子であることが明らかになった。H1、2変異体の原因遺伝子を同定したところ、H1遺伝子は新規な転写制御因子、H2は葉緑体ゲノムの転写制御に関わる遺伝子であった。H1変異体の種子は脂質含量が低下、タンパク質含量が増加しており、さらにH1変異体種子では貯蔵タンパク質合成に関わる遺伝子の発現が増加していた。この結果から、H1遺伝子は種子の貯蔵脂質蓄積と貯蔵タンパク質蓄積のバランスを制御する遺伝子であることが示唆される。H2変異体では種子の脂質含量は低下するものの、タンパク質含量の変化は認められなかった。H2遺伝子は新規な遺伝子であり、葉緑体に局在する葉緑体ゲノムの転写制御機構を担うタンパク質の1つとして働き、葉緑体ゲノムの転写・翻訳を制御していた。これより種子貯蔵脂質の合成、蓄積において重要な葉緑体ゲノムの機能発現に必須な新規遺伝子を明らかにした。
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Research Products
(3 results)