2009 Fiscal Year Annual Research Report
揚子江に生息するスナメリノ個体群胴体とその変動要因の解明に関する研究
Project/Area Number |
09J02560
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 里子 Kyoto University, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スナメリ / イルカ / ハクジラ / エコーロケーション / データロがー / 個体群 / 密度 / 音響観察 |
Research Abstract |
本研究の目的は、受動的音響観察手法を用いて、中国揚子江の中流域に生息するスナメリ個体群の生態と、生態に影響を与える要因を解明することである。 当該年度は、データ収集のため、年4回中国へ渡航し、揚子江-ポーヤン湖接続域において、定点音響観察、曳航音響観察を実施した。定点音響観察では、2つの航路用ブイに各々音響データロガーを設置し、長期間にモニタリングを実施し、曳航音響観察では、音響データロガーを調査船から曳航し、広域的にモニタリングを行った。さらに、曳航調査では、調査船上で計量魚群探知機(HE-6100,HONDEX社製)を使用し、GPS(Garmin社製)を用いて各水域の水深、生物資源量を測定した。 また、当該年度は、主に定点音響観察で取得したデータの解析を行った。まず、データ解析を効率化するため、クリックトレインを自動検出するフィルターの作成に取り組んだ。これにより、本種の鳴音研性を定質的に記述することができ、効率的な定量解析が可能となった。定点音響観察では、対象音検出数の相対量から、相対的な到来頻度を知ることは容易である。しかし、それが、どのくらいの個体数密度に相当するのかということはこれまでにわかっていなかった。そこで、検出された鳴音数から個体数密度を推定するモデルを考案し、実際にスナメリの個体数密度を推定した。結果から、観察定点水域で、スナメリの密度が季節的に変化することが分かった。これにより、本種の季節的な回遊が示唆された。 本研究で提案した個体数密度推定モデルは、本種のみならず他の小型イルカにも適用可能であり、汎用性が高い。また、密度変化は鯨類の保全管理において非常に重要な要素であるため、本種の保全に大いに役立つものと考える。
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[Presentation] 定点音響観察手法を用いたスナメリの密度推定2010
Author(s)
木村里子, 赤松友成, Songhai Li, Shouyue Dong, Lijun Dong, Kexiong Wang, Ding Wang, 荒井修亮
Organizer
平成22年度日本水産学会春季大会
Place of Presentation
藤沢
Year and Date
2010-03-29
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