2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02561
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梶丸 岳 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 歌掛け / プイ族 / 中国 / 民族音楽学 / 旋律と声調 / 観光 / 文化人類学 / 社会言語学 |
Research Abstract |
本研究は、中国貴州省プイ族の歌う歌掛け「山歌」をミクロ(歌詞や旋律)・中間(コミュニケーション・パフォーマンス)・マクロ(社会的位置づけ)の各次元それぞれで分析し、それらを総合して歌掛けの人類学を構築することを目的とする。今年度は、歌掛けを取り巻く社会状況の調査、歌掛けの歌詞の持つ社会言語学的特徴の分析、旋律と声調の相関関係の分析を行なった。その結果歌掛けが社会的変化の中で見た目をよくする方向へ変化しつつあり、観光化に結びつく可能性があること、山歌の歌詞は接続表現に乏しいこと、さらに中国語で歌われる「漢歌」では旋律の動きと声調の間に相関関係が見られず、プイ語で歌われる「プイ歌」ではゆるやかな相関関係がみられることが示された。こうした成果はそれぞれ日本文化人類学会、社会言語科学会、日本音楽学会、東洋音楽学会で発表された。また9月には秋田県横手市の金澤伝統掛唄大会の調査を短期間調査し、今後継続的に調査して「山歌」と比較検討する可能性を見いだした。さらに12月から3月には中国貴州省で山歌の調査を行なった。この調査では歌手たちの社会関係や歌掛けの習得状況のインタビュー、山歌の収録と書き起こしを行なった。その結果「山歌」でも中国語で歌われる「漢歌」と、プイ語で歌われる「プイ歌」では、歌い方だけでなく歌手の関係においても違いが見られることが明らかとなった。またプイ歌も地域によって歌い方がまったく異なっており一般化が難しいことも分かった。こうした研究成果は次年度研究発表や論文の形でまとめられる予定である。
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Research Products
(7 results)