2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02571
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
笠井 俊和 Nagoya University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 船乗り / 西インド貿易 / 密貿易 / ボストン / ニューイングランド / ジャマイカ / ポートロイヤル / 大西洋史 |
Research Abstract |
採用1年目に当たる平成21年度は、研究に必要となるデータベースを充実させることを最優先した。17世紀末のボストンとジャマイカにおける船舶の出入港記録(海事局船舶簿)のデータベース化はすでに完了していたため、今年度は、18世紀初頭の両港の記録の入力作業を進めた。構築したデータベースを分析してイギリス領植民地の貿易構造を考察した成果は、2本の論文、すなわち「17世紀末におけるボストンの船乗りと西インド貿易」(『西洋史学』235号)と"English Smuggling Activities in the Official and Private Documents: The 'Spanish Trade' and the Logwood Trade from Jamaica in the Late Seventeenth and Early Eighteenth Centuries" (HERSETEC: Journal of Hermeneutic Study and Education of Textual Configuration,vol.3, no.1)を通じて発表した。前者は17世紀末にジャマイカを訪れるボストン船による西インド貿易を再考したもので、当時は母港ボストンと取引地を往復するだけのシャトル貿易が主流であったことを論じた。後者では、ジャマイカを訪れるロンドン船やボストン船による密貿易を扱い、船舶簿という公的な文書から密貿易に従事した船の動きを再現するとともに、商人の書簡や船乗りの回想録といった私的な文書を併用することで、スペイン植民地人との違法な取引の詳細を明らかにした。また、21年6月には、専修大学で開かれた日本西洋史学会第59回大会にて、「17世紀末におけるボストンの西インド貿易-結節点としてのジャマイカー」と題してその時点までの研究成果を報告した。研究環境の整備の面では、一次史料の収集のために10月にアメリカ合衆国に渡航し、ワシントンD.C.の議会図書館、ヴァージニア州ニューポートニューズのマリナーズ博物館、ボストンのマサチューセッツ歴史協会を訪問した。その際に入手した史料は、主に翌年度の研究に活用させるものであるが、一部は上記の拙論においてすでに利用している。
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Research Products
(3 results)