2009 Fiscal Year Annual Research Report
フェリチン結晶内反応の追跡による蛋白質結晶の機能化
Project/Area Number |
09J02585
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安部 瑞恵 Kyoto University, 物質-細胞統合システム拠点, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | フェリチン / 蛋白質結晶 / 孤立空間 / 金属微粒子の集積化 / X線結晶構造解析 / 金属イオン集積 / 金属微粒子サイズ制御 / 触媒反応 |
Research Abstract |
本研究では球状蛋白質フェリチン(Fr)が直径8nmの内部空間を保持したまま結晶化し、結晶内で同一の孤立空間が精密に配列化することを利用し、機能性蛋白質結晶材料の創製を目指している。 これまでに我々はFrの直径8nmの内部空間で均一なサイズのPd微粒子(直径2.0±0.3nm)の合成とPd微粒子内包Frを用いたオレフィン水素化反応を報告している。本年度はPd(II)イオン/Fr複合体のX線結晶構造解析によりFr内部表面へのPd(II)イオン集積過程を解明し、集積サイト数調節による集積量制御を初めて実験的に示した。(J.Am.Chem.Soc.131, 5094-5100, 2009)。 またAu(III)イオン/Fr複合体のX線結晶構造解析により、Fr内部でのAu(III)イオンとPd(II)イオンの結合様式の違いを明らかにし、これを利用したFr内部でのAu-Pdバイメタル粒子の合成及び、Au-Pdバイメタル粒子/Fr複合体によるオレフィン水素化反応の触媒活性向上を報告した(Chem.Commun.32, 4871-4873, 2009)。さらに、Au(III)イオン/Fr複合体のX線結晶構造でAu(III)イオンがシステイン残基に特異的に配位していることから、Fr内部表面のシステイン残基数の調節によりAu集積量を制御し、望みのサイズのAu微粒子の作成が可能と考えた。そこで、Fr内部表面のアミノ酸置換により1分子あたりのシステイン残基数を48残基から144残基に増加させた変異体を作成し、Au集積量の比較を行った。その結果、システイン残基の導入によりFr1分子あたりのAu集積量が増加し、透過型電子顕微鏡測定によりAu微粒子の直径の増大を確認し、さらにFrの結晶化により、Au微粒子高密度に集合させる事に成功した。現在これらのAu微粒子/Fr複合体を触媒としたアルコール酸化反応を検討中である。
|
Research Products
(6 results)