2010 Fiscal Year Annual Research Report
フェリチン結晶内反応の追跡による蛋白質結晶の機能化
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09J02585
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安部 瑞恵 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フェリチン / 蛋白質結晶 / 孤立空間 / 金属微粒子の集積化 / X線結晶構造解析 / 金属イオン集積 / 金属微粒子サイズ制御 / 触媒反応 |
Research Abstract |
本研究では球状蛋白質フェリチン(Fr)が直径8nmの内部空間を保持したまま結晶化し、結晶内で同一の孤立空間が精密に配列化することを利用し、機能性蛋白質結晶材料の創製を目指している。 申請以前に我々の研究グループでは、Frの内部空間で均一なサイズのPd微粒子(直径2.0±0.3nm)の合成とPd微粒子内包Frを用いたオレフィン水素化反応に成功している。これをもとに1年目に我々は、Pd(II)イオン/Fr複合体のX線結晶構造解析を行い、Fr内部表面へのPd(II)イオン集積過程の解明及び集積サイト数調節による集積量制御の実験的証明に成功した(J.Am.Chem.Soc.131, 5094-5100, 2009)。2年目には、Au(III)イオン/Fr複合体のX線結晶構造解析により、Au(III)イオンがPd(II)イオンよりシステイン残基に特異的に配位することを見出し、この結合様式の違いを利用したFr内部でのAu-Pdバイメタル粒子の合成及び、Au-Pdバイメタル粒子/Fr複合体によるオレフィン水素化反応の触媒活性向上を報告した(Chem.Commun.32, 4871-4873, 2009)。 これらの結果から、Fr内部表面に複数種の錯体触媒を同時に配位させる事が可能であり、ナノサイズの孤立空間でのドミノリアクションが可能であると考えた。Fr内部表面のアミノ酸置換により1分子あたりのシステイン残基数を48残基から144残基に増加させた変異体の作成、精製に成功しており、Auイオン集積量の比較の結果、システイン残基の導入によりFr1分子あたりのAu集積量が増加することを確認している。
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Research Products
(2 results)