2009 Fiscal Year Annual Research Report
ルネサンス期フィレンツェ東方貿易史―オスマン帝国内における毛織物取引を中心に―
Project/Area Number |
09J02601
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鴨野 洋一郎 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 中世史 / 近世史 / 国際商業史 / フィレンツェ / オスマン帝国 / 繊維工業史 / イタリア:トルコ |
Research Abstract |
今年度では、4月から12月までフィレンツェに滞在し、フィレンツェ各古文書館に所蔵されている史料の調査を行いました。具体的には、フィレンツェ国立文書館、フィレンツェ国立中央図書館、フィレンツェ捨児養育院文書館、ハーヴァード大学ベイカー図書館(フィレンツェにてマイクロフィルムを閲覧)の各古文書館に所蔵されている15・16世紀の経営記録を中心とする史料を読み込み、情報をデータ化してコンピュータに入力しました。また、中心的史料として利用する史料は可能な限り写真撮影を依頼し、写真をCD-ROMに保存して持ち帰りました。これにより、日本におけるデータの整理および原史料の確認調査ができるようになりました。 帰国後、イタリアでの調査結果をまとめ、「15世紀フィレンツェの織元グワンティ家の成長と毛織物販売-フィレンツェ市場とトルコ市場」と題した論文を執筆しました。この論文では、毛織物製造により家産を成長させたフィレンツェの一家系グワンティ家が経営していた会社を取り上げ、会社がフィレンツェおよびトルコで販売した毛織物の種類や価格などを考察しています。 来年度は今年まで収集したデータを基に、これまで明らかにされてこなかった15・16世紀フィレンツェ-オスマン帝国間貿易の実態を、他の商業活動との関連の内に位置付ける作業を行っていきます。この目的のために、今年度時間をかけて綿密に行ったフィレンツェでの史料調査は今後、重要な意味をもってくるものと思われます。
|