2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本の映画興行に関する歴史的考察―テレビ産業成立以降の映画産業の可能性をめぐって
Project/Area Number |
09J02624
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北浦 寛之 Kyoto University, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 映画興行 / テレビ産業 / 映画館 |
Research Abstract |
本研究は、テレビ産業成立以降の1950年代から70年代において、映画興行に惹起した問題と、それに対する興行者たちの対策を解明するものであり、映画文化を支えていく、これからの興行活動に有益な視座を提供することを目的としている。 以上の研究を遂行するため、まず取り掛かったことが、映画興行の仕事に従事する映画会社、映画館経営者の当時の動向を記した一次言説資料を収集することだった。主に神戸映画資料館、早稲田大学演劇博物館、日本大学芸術学部図書館、松竹大谷図書館に赴き、一次資料の調査・収集にあたった。そのなかで、神戸映画資料館には特に興味深い資料が多数存在することがわかったが、それらの資料が未整理のまま散在している状態であったので、その問題を解決すべく、膨大な書籍・雑誌等を整理しながら、意中の資料を探す作業に従事した。さらに、こうした文献調査だけでなく、当時の映画界の状況を知る映画関係者に、聞き取り調査を実施した。映画会社の松竹で長年セールスマンを務め、映画館への作品の売り込みをしていた方からは、映画が製作された後の、配給ならびに興行の仕事の過程を詳しく教わった。一方で、映画作品を買い付ける側である映画館主の方からは、映画館の経営に関わる全般的な話を聞き、相次いで映画館が閉館していく状況下でどのような対策を講じたのかを詳しく話してもらった。他にも、多くの映画関係者に取材をし、有益な情報を提供してもらった。こうした聞き取り調査によって、収集した文献には記されていなかった事実、不明だった点が判明し、研究の精度向上が図られた。 以上の研究の成果を、2009年度の日本映画学会において口頭研究発表をおこなった。さらに、2010年1月には、今年刊行予定の映画学叢書『日本映画は生きている(単行本全8巻)』(岩波書店)第3巻に寄稿し採録が決定した。
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Research Products
(2 results)