2010 Fiscal Year Annual Research Report
太古代から原生代にかけての堆積岩に記録された酸素発生型光合成微生物の活動変遷史
Project/Area Number |
09J02645
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石田 章純 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 太古代 / 初期原生代 / 窒素安定同位体比 / ケロジェン / ガンフリント層 / シアノバクテリア / FE-SEM / TEM |
Research Abstract |
1)南アフリカ地質調査:南アフリカ、バーバートン地域、タイムボールヒル地域の調査を行った。この地域には本研究で対象とする約35~25億年前の海洋堆積層が産出する。各地域で数日ずつの地質調査を行い、岩石試料を採取した。採取した堆積物より有機物を抽出し、これまで研究を行ってきた初期原生代試料と比較することで太古代における海洋環境およびシアノバクテリアの進化にこれまでにない知見を与えることができると考えられる。2)電界放出型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた微小領域観察へのアプローチ:東北大学100万ボルト電顕室所蔵のFE-SEM、および地学専攻所蔵のTEMの使用法を学び、岩石薄片微小領域の高倍率観察を行った。FE-SEM観察においては組成分析も同時に行い、堆積岩中有機物に含まれる金属元素の種類や形態観察へ検討を行った。その結果、有機物の脈の中に極微細な黄鉄鉱や、モリブデンなど特定の微生物の活動を示唆しうる金属元素なども発見されることがわかった。微小領域観察によって太古代の微生物活動をさらに詳細に規定できる可能性を見出すことができた。TEMについては原理、操作法について実際に試料を用いて習得中であり、FE-SEMと合わせて、今後の研究に役立てていく方針である。3)投稿論文の作成:19億年前カナダ・ガンフリント層での調査・分析結果をまとめ、国際誌に投稿するための論文作成を進めている。論文のメインテーマを、この地域を対象とした分析としては新しいデータである有機物の窒素安定同位体比を中心として構成し、初期原生代の海洋環境や微生物活動について新しい評価法を提案するものである。現在、研究室の内外の研究者と意見交換をおこない、国際誌"Geochimica et Cosmochimica Acta"に投稿準備中である。
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Research Products
(3 results)