2009 Fiscal Year Annual Research Report
非酸素発生型光合成細菌によるストロマトライト形成の検証
Project/Area Number |
09J02649
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
奥村 知世 Kyushu University, 大学院・比較社会文化研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | トラバーチン / ストロマトライト / 16S rRNA遺伝子解析 / FISH法 / 微小電極 / シアノバクテリア / 微生物マット |
Research Abstract |
本研究の目的は、類似の縞組織をもつ先カンブリア紀のストロマトライトと現世のトラバーチン(温泉成炭酸塩堆積物)を比較し,「初期のストロマトライトが非酸素発生型光合成細菌により形成された」という仮説を立証することにある. 本年度は現世のトラバーチンについての研究手法の確立と、研究対象の探索を目的とした調査を行った。 これまで研究を行ってきた大分県長湯温泉のトラバーチンについて、トラバーチン中に分布する微生物の特定を行う16S rRNA遺伝子解析とその分布を知るFluorescence in situ hybridization(FISH)、微小電極を用いた堆積物表面や内部の化学プロファイルに関する基礎実験を行い、それぞれの手法を確立した。その結果より、長湯温泉のトラバーチンについてはHydrogenophaga sp.とシアノバクテリアが日周期の縞形成に寄与していることが明らかとなり、これまでに報告されていない新たな縞組織形成モデルを提案した。 研究対象の探索のため、西日本に位置する8ヵ所(長湯温泉・弓ヶ浜温泉・木部谷温泉・三瓶温泉・安楽温泉・塩浸温泉・奥湯布院・薩摩硫黄島)の温泉に発達する温泉堆積物について、産状や組織の記載を中心とした基礎的な情報収集を行った。木部谷温泉と安楽温泉、塩浸温泉では、先カンブリア紀のストロマトライトに見られるような円錐状や柱状の凸構造をした内部に縞組織をもつ微生物マットを発見した。また、西オーストラリア分布する、シアノバクテリアの進化より古い始生代のストロマトライトのサンプリングを行い組織の記載を行った.
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Research Products
(4 results)