2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02661
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大澤 舞 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 語用論的動機付け / トピック / 異常受身 / 異常受身 / 派生名詞句構文 / 二重目的語構文 |
Research Abstract |
本研究の目的は、適切な語用論的生起条件によってのみ認可される様々な特殊構文を総合的に分析することであり、本年度は複数の構文に共通する記述的一般化を提案しその妥当性を立証した。まず、Osawa(2009)において、研究代表者の論文(大澤(2008))に対する高見(2009)の批判へ反論し、本研究の分析の妥当性を主張した。そして、博士論文(Osawa(2009))を完成させ、4つの構文(cause使役受身/異常受身/所有格名詞句/to与格構文)を「語用論的動機付けを必要とする特殊構文」として統一的に扱い、その背後には次のような一般原則が存在することを主張した。「単独では非文となりながらも、適切な文脈に生じれば容認される構文が語用論的に認可されるためには、1.その構文内に当該文脈において「トピック」として機能する要素が必要であり、かつ、2.各構文が単独で認可されるために満たすべき条件が、当該文脈からの情報によって満たされる必要がある。」本論文の具体的な成果は次の3点である。第一に、cause使役受身について、それが文脈によっては容認される場合があることを初めて指摘し、その語用論的認可条件を明らかにしたこと。第二に、異常受身については、複数の先行研究があるものの、いずれの分析にも問題があることを指摘するとともに、当該構文はcause使役受身と同様の語用論的観点から分析することによって、その特徴が適切に捉えられることを示したこと。第三に、派生名詞句構文と二重目的語構文について、それらが語用論的動機付けを必要とする場合は、それぞれ名詞句内と動詞句内に、文脈上トピックと解釈される要素がなければならないことを実証したこと。これらは、語用論的動機付けを必要とする構文という統一的な観点から、現代英語における文法と談話の関係に関する研究に、理論および記述の両面において貢献をなすものであるといえる。
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Research Products
(3 results)