2011 Fiscal Year Annual Research Report
海底地震計を用いた地震波干渉法によるプレート沈み込み帯深部の微細三次元構造の解明
Project/Area Number |
09J02666
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
湊 翔平 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 弾性波 / 地震波干渉法 / 地下構造イメージング |
Research Abstract |
本年度はこれまでの成果をまとめ、OBS地震観測記録に対する地震波干渉法理論の適用についての研究結果と、高解像度地下構造可視化手法である共通反射面重合法に関する論文を、それぞれ国際誌に発表した。さらに、地震波干渉法を定常微動記録に応用することで、日本列島の地殻速度をモニタリングすることを試みた。定常微動は常に観測することのできる波動場であり、地震波干渉法により人工震源を利用せずに繰り返し波動場を取得することができ、モニタリングに適している。茨城県および福島県を含む地域の約半年間の微動記録を解析した結果、昨年度発生した東北沖地震に伴って、周辺の地殻速度が低下する現象が確認された。本解析で得られた地殻速度変化の原因を議論するため、GPSで観測された座標変化から、静的な面歪みの変化と、地震時の地盤が受けた強振動の分布を比較した。この結果これらは得られた地殻速度変化と同一の傾向を示したことから、得られた地殻速度変化は、自然地震に伴う応力場の変化と、地盤の強振動によって岩盤がダメージを受けたことに起因する可能性を指摘した。また、MDD型地震波干渉法による波動場再現の高精度化に関する研究を行った。MDD型地震波干渉法は逆問題を含むため、これを解く方法として特異値分解(SVD)による方法を採用することで,逆問題の特徴を表す量を導入した。地震波干渉法の応用において特に重要となるのは震源の分布であり,震源の分布によって地震波干渉法の解析元となるデータにどれほどの情報量が含まれているのかが決まる。このような震源分布の評価は,震源配置を決める実験計画において特に重要である。本研究では,数値計算により,SVDによって得られるランクから,震源分布の影響を検証し,ランクを見ることによって最適な震源配置を決定できる可能性があることを示した。これらの成果は米国物理探査学会、および日本物理探査学会で発表済みである。
|
Research Products
(4 results)