2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02673
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
梅原 敬弘 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルデヒド脱水素酵素2 / 凍死 / β-フェネチルアミン / トリプタミン / チラミン |
Research Abstract |
1)アルデヒド脱水素酵素2の多型の違いによるアルコール代謝の検討 単位時間当たりの血液中アルコール濃度の減少率は、アルデヒド脱水素酵素2の多型である1/1型に比べ1/2型では低値が得られ、1/2型ではその値のばらつきが大きかった。1/2型はアルコール代謝活性が低いため、他の代謝経路が作用した可能性が示唆され、更なる検討を行う予定である。 2)異なる環境下における生前摂取アルコールと死後産生アルコールの判別法の確立 2-1)凍死ラットモデルの作成 偶発的低体温症(凍死)を発生する条件として、アルコール摂取が大きく関わっており、実際の凍死者においてもしばしばアルコールを摂取していることがある。そこで寒冷環境下におけるアルコール摂取の影響を調べるため、凍死ラットモデル作成の検討を行った。ラットは全て腹腔内に送信機植え込み手術を施し、経時的に心電図・深部体温の測定を行った。腹腔内へネンブタール投与後、ネンブタールを追加しながら寒冷暴露(4~10℃)した群(I群)、腹腔内へのネンブタール投与後、ラットの剃毛を行い寒冷暴露した群(II群)、腹腔内へのネンブタール投与後、ラットの剃毛を行い、剃毛した部分をアルコールで濡らし、寒冷暴露した群(III群)について検討したところ、I群では約6時間で死亡が確認され、II群ではラットは生存し、III群では約20~150分の範囲で死亡が確認された。今後このIII群の凍死モデルを用いてアルコール投与実験を行う予定である。 2-2)血液中腐敗成分の高感度定量法の確立 検出されたアルコールが生前摂取によるものか、腐敗によるものかを判断するための指標として血液中の腐敗成分の分析法を検討した。対象の腐敗成分としてβ-フェネチルアミン、トリプタミン、チラミンの3化合物を選択、これらを血液中から高感度で定量可能な分析法を確立するため添加回収実験を行った。その結果、Focusカラムを用いて抽出し、アセチル化を行うことで、良好に定量可能なことが判明した。現在精度向上のための内部標準物質の検討を行っている。
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