2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02673
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
梅原 敬弘 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教
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Keywords | 凍死 / アルコール / 視床下部 / 前頭葉 / 褐色脂肪組織 |
Research Abstract |
-凍死の病態生理とアルコールの影響- 1)アルコール経口投与をともなう凍死ラットモデルの作成 偶発的低体温症(凍死)を誘発する要因の一つとして、アルコールが大きく関わっており、凍死と診断された症例において、血液中からアルコールが検出されることがしばしば経験される。そこで寒冷環境下におけるアルコール摂取の影響を調べるため、アルコール経口投与をともなう凍死モデルラット作成の検討を行った。ラットに20%アルコール(3g/kg)を経口投与した後、直ちに寒冷環境下(4℃)で氷上暴露を行った。ラット死亡確認のため、直腸温を経時的に測定し、死亡確認後、GC/MSにて血液中アルコール濃度の測定を行ったところ、致死濃度以下であった。アルコール経口投与を除く同条件で処置したラットにおいては死亡まで至らなかった。以上よりアルコールが凍死を誘導する要因の一つであると考えられ、この条件で作成したモデルを凍死モデルとした。 2)凍死モデルラットの視床下部・前頭葉および褐色脂肪組織におけるmRNA発現 以前報告した凍死モデルラットの視床下部・前頭葉において、体温調節や凍死経過中に観察されることがある異常行動の原因遺伝子と示唆されたmRNA発現(Umehara et al. 2011)に加え、凍死特異的と考えられた遺伝子を、1)で作成したモデルの視床下部・前頭葉で確認したところ、それらの遺伝子において有意な発現は確認されなかった。しかし、アルコール処置後、寒冷暴露による死亡までの経過時間と遺伝子発現量の相関を検討したところ強相関を示した遺伝子が確認された。このことからアルコール投与及び寒冷環境下での遺伝子発現はその暴露時間に強く影響を受けることが考えられた。また同モデルラットの肩甲骨間の褐色脂肪組織において熱産生に関連する遺伝子の発現を検討したところ、寒冷特異的に発現する遺伝子を同定した。
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Research Products
(2 results)