2009 Fiscal Year Annual Research Report
遷移・典型元素による不活性結合活性化型新規触媒反応と普遍元素による代替手法の開発
Project/Area Number |
09J02686
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森本 浩之 Kyoto University, 化学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 銅 / 触媒 / クロスカップリング / トリフルオロメチル / ヨウ化アリール |
Research Abstract |
1年目の研究課題は、米国イリノイ州イリノイ大学アーバナシャンペーン校のHartwig教授の元で、酸素を再酸化剤とする新規触媒的脱水素的クロスカップリング反応を開発し、上記で達成された触媒的脱水素的クロスカップリング反応をアミノ化・エーテル化反応へと応用することであった。しかしながら、種々検討の結果、上記反応の達成には困難が伴うことが判明した。 そこで、新たな研究の展開として銅触媒を用いたトリフルオロメチル基の脱炭酸型クロスカップリングを試みることとした。トリフルオロメチル基は医薬品や有機触媒等によく見られる重要な官能基の一つであり、化合物の安定性の向上や活性の増大に寄与することが知られている。このトリフルオロメチル基を導入する方法としては、四フッ化硫黄や三フッ化砒素などを用いた反応が古典的に知られているが、試薬の毒性や効率の面で問題を抱えていた。一方、炭素-炭素結合を生成する上で重要であるクロスカップリング反応によく用いられるパラジウム触媒では、トリフルオロメチル基の導入が難しいことが知られている。また、銅を触媒とする反応はいくつか報告があるものの、用いる試薬の価格や基質の適用範囲等に問題を抱えていた。そこで、私は安価に入手可能で低毒性なトリフルオロ酢酸塩を用いた脱炭酸型クロスカップリングの検討を開始した。その結果、触媒量の配位子を添加することで、現在までに40-50%の収率にて目的物を得ることに成功している。また、反応機構解析を目的として中間体の単離及び反応性の検討を行った結果、本反応が副生成物であるヨウ化物の塩によって阻害されること、脱炭酸過程が律速段階であること、及び脱炭酸後に生成するトリフルオロメチル銅が室温においてもクロスカップリング反応を進行させることを明らかとした。現在本反応のさらなる反応性の改善及び収率の向上に向けた取り組みを行っている。
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