2010 Fiscal Year Annual Research Report
遷移・典型元素による不活性結合活性化型新規触媒反応と普遍元素による代替手法の開発
Project/Area Number |
09J02686
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森本 浩之 京都大学, 大学院・薬学研究院, 助教
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Keywords | トリフルオロメチル化 / 芳香族ヨウ素化合物 / トリフルオロメチル銅錯体 / クロスカップリング |
Research Abstract |
2年目の研究課題は、(1)前年度で明らかになった銅を用いたトリフルオロメチル化反応の更なる展開(基質一般性の確認、トリフルオロメチル銅錯体の市販試薬からの調製、触媒量の銅試薬を用いた脱炭酸反応の更なる効率化)、及び(2)研究計画で実施予定であった新規触媒による脱水素的クロスカップリング反応及びアミノ化・エーテル化反応の開発と普遍元素による置換であった。このうち、(2)の反応の達成には困難が伴うことが判明したため、(1)の研究に注力することとした。 まず、基質一般性の検討を行ったところ、既存の類似錯体を経由する反応に比べて、温和な条件下で反応が進行し、高い収率にて目的のトリフルオロメチル化された芳香族化合物を得ることに成功した。また、既存の反応では困難な種々の官能基を持った基質に対しても問題なく反応が進行した。 次に、トリフルオロメチル銅錯体の市販試薬からの調製を試みたところ、安価な試薬の組み合わせでトリフルオロメチル銅錯体が系中にて生成可能である事が判明した。この条件を用いることで、グローブボックスなしでのトリフルオロメチル化反応が可能になり、本反応の応用可能性が飛躍的に向上した。また、本反応はパーフルオロアルキル基の温和な条件下での導入にも適用可能であることが示された。 なお、触媒量の銅試薬を用いた脱炭酸反応の更なる効率化に関しては、種々検討したものの満足のいく結果を得ることはできなかった。しかしながら、上記で達成されたトリフルオロメチル化反応は既存の反応に比べて十分な基質適用範囲及び温和な反応条件を有しており、本研究により十分な実績を挙げることができたと判断した。
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Research Products
(4 results)