2010 Fiscal Year Annual Research Report
副作用のない新規治療と診断のための腫瘍ターゲティング金ナノロッドの創製
Project/Area Number |
09J02691
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
秋山 泰之 九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 金ナノロッド / 体内動態 / フォトサーマル治療 / 積分球 / アクティブターゲティング |
Research Abstract |
生体浸透性の高い近赤外光を吸収する金ナノロッドは光を熱に変換するフォトサーマル効果を持つため、腫瘍に集積させることができればがん治療や診断への応用が可能となる。また、金自体の毒性は低く、光を照射した部分でのみ発熱し治療効果を与えることができるため、副作用のない治療が期待できる。この金ナノロッドを用いた効果的ながん治療を達成するためには、金ナノロッドを腫瘍へ多く蓄積させることも必要であるが、凝集することによって近赤外域の吸収が減少してしまうため、吸収を維持したまま集積させることも重要である。本年度は、シリカコートにより金ナノロッド表面に厚みを持たせた粒子を用いて、臓器集積後の吸収スペクトルを明らかにするために積分球を用いた分光光度計による評価法を確立させ、評価を行った。その結果、コントロールとして用いたポリエチレングリコール(PEG)修飾金ナノロッドと比較して臓器に蓄積しても高い吸光度を維持していた。おそらく、シリカコートすることによって凝集しても金ナノロッド表面の距離が開いていたために、表面プラズモンへの影響を抑えることができたからだと考えられる。この結果は、生体内での評価例の少ない金ナノロッドの新たな指標となり、さらに金ナノロッドを用いたがん治療を行う上で有益な情報になると期待できる。また、腫瘍へのターゲティング能向上を目的とした、リガンド修飾金ナノロッドを作成するための修飾条件の検討を行った。PEG末端を活性エステル化することでモデルタンパクとして用いたアルブミンを修飾させることに成功した。この手法はタンパク質だけでなくペプチドや蛍光基、薬物を金ナノロッドに修飾する際に転用できる修飾法であり、今後の金ナノロッドの発展に寄与できるものであると考えられる。本研究は金ナノロッドを用いた医療への応用のための重要な基礎精報となるだろう。
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Research Products
(7 results)