2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02700
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小峰 陽比古 Tokyo University of Science, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 株細胞 / 歯再構築 / 人皮膜下移植 / 組織培養 |
Research Abstract |
株細胞は実験動物を用いず材料が得られ、実験評価が容易であり分子機構の解明に役立つと考えられる。そこでマウス臼歯歯胚上皮由来の五種類のクローン性株細胞の解析を行い、歯再構築能を有することを確認している。しかしそのどれも100%の確率で歯構築しなかった。構築能を上昇させることは、株細胞を用いて分子メカニズムを解明するとき、歯再生研究を行うのに避けて通れない課題である。 発生中の歯上皮には連続した分化系譜が存在する。生体内における歯上皮と株細胞の違いは種類で、株細胞は5種類しか得られていないことから重要なのは隣接した上皮同士の相互作用なのではないかと仮説を立てた。発生初期の歯上皮には未分化な細胞のみ存在する。そこで株細胞を発生初期の分化段階にすることで細胞種の問題が解決すると予測し、株細胞をこの分化段階にするために培養条件を検討した。結果、無血清培地で培養することで発生初期の遺伝子発現パターンを示した。この株細胞を用いて歯構築実験・腎皮膜移植を行ったが全く歯構築されなかった。 次に株細胞と歯胚上皮細胞を混合し、腎皮膜下移植を行ったところ100%歯構築され、株細胞が歯を構築していることが確認された。さらに成体に移植することで解析が困難になってしまうと考えられるため、再構築物(人工歯胚)を組織培養したところ株細胞のみで作った人工歯胚では全く歯構築されなかったが、株細胞と歯胚上皮細胞を混合した人工歯胚は100%歯構築され、株細胞が歯を構築していた。 これらの結果から歯胚上皮細胞が株細胞に誘導を行っていると考えられる。そこで、組織培養で株細胞のみの人工歯胚がどの発生段階で止まっているのかを特定し、その時期に歯胚上皮細胞がどのような影響を及ぼしているのかを解析することで株細胞だけで100%歯構築ができ歯発生の解析が行えること、さらには歯再構築における誘導分子が明らかになることが期待される。
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Research Products
(1 results)