2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02750
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
兎田 幸司 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 報酬 / 動機づけ / 価値 / 前部帯状皮質 / 前頭前野内側部 / オペラント / 単一ニューロン活動記録 / サル |
Research Abstract |
行動の結果としてもたらされる報酬の情報を正確に認識する能力は、動物が生存していく上で不可欠な認知機能である。これまでの研究により、前頭葉の内側部に位置する前部帯状皮質という領域が、「報酬の予測」や「動機づけ」に重要な役割を果たしていることが示唆されているが、(1)前部帯状皮質の領域内に機能差が存在するのか、(2)「報酬の近さ」や「報酬の量」についての情報がこの領域においてどのように処理されているのかは未だ明らかにされていない。本研究においては,「報酬の近さ」と「報酬量」を操作した視覚弁別課題をサルに訓練し、課題遂行中のサルの前部帯状皮質吻側部から単一ニューロン活動を記録することを通じて、この領域の報酬の情報処理における役割について検討を行った。平成21年度は、2頭のアカゲザル(Macaca mulatta)に対して、「報酬獲得までの試行数」と「報酬の量」の2条件を操作した視覚弁別課題を訓練し、この課題を遂行中のサル1頭の前部帯状皮質吻側部から233個の単一ニューロン活動を記録した。その結果、(1)前部帯状皮質の領域内に機能分化が存在していること、(2)前部帯状皮質の吻側部においては、「報酬の量」についての情報よりも「報酬の近さ」についての情報が主に担われていることを示唆する結果が得られた。また、これらの研究成果を、北米神経科学学会(09年)、日本神経科学学会(09年)、日本動物心理学会(09年)などで発表し、特に日本動物心理学会では最優秀発表奨励賞を受賞した。今後は2頭目のサルからの単一ニューロン活動記録実験を継続することを通じ、結果の信頼性について検証するとともに、得られた結果の綿密な解析に従事することを通じて、ニューロン活動のデータに潜む情報の詳細について明らかにする予定である。
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Research Products
(12 results)