2011 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖修飾による腫瘍細胞および病原体の新たな免疫逃避機構の解明
Project/Area Number |
09J02766
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
王 静 大阪大学, 微生物病研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 接着分子 / 抑制化レセプター / GPCRシグナル伝達 |
Research Abstract |
様々な免疫細胞の表面には免疫系を活性化するレセプタと逆に抑制するレセプタが存在します。これらのレセプタのシグナル伝達のバランスによって生体の免疫機能が決定されると考えちれています。抑制化レセプタ分子のひとつであるPILRは免疫応答においての機能をPILRノックアウトマウスで調べたところ、PILRは好中球の浸潤を制御することで、感染や外傷による過剰な炎症反応を抑える役割を担っていることを以前の研究で明らかになった。PILR欠損の好中球は走化性因子の刺激による接着、遊走などのレセポンスが野生型より亢進していることから、PILRの抑制化に関わるエフェクターについて解析を行った。ここで、免疫細胞の動態制御に重要な役割を果たしているインテグリン分子に着目した。インテグリンは走化性因子の刺激によってコンフォメーションや局在を秒単位で変化し、リガンドに対する高い親和性になり、接着するようになる。PILR欠損の好中球がインテグリンのリガンドである血管内皮細胞で発現するICAM-1に対する接着性を著しく進しました。さらに、PILRの下遊シグナルを調べたところ、PILRのITIMドメインのチロシンのリン酸化は走化性因子の刺激による瞬時的に亢進し、ホスファターゼSHP-1やSHP-2をリクルートすることを確認した。PILRは、インテグリンのダイナミックの変化を調節することでインテグリンの活性化による好中球の接着や遊走を制御すると考えられる。 また、PILRが抑制化のシグナルを伝えるために、リガンドとの結合が必要とされる。好中球に発現しているPILRは好中球自身に出ているリガンドと結合する。この結合によって、PILRは完全にマスクされ、外来のリガンドを認識しないことが明らかになった。PILRの抑制化の機能がシスのリガンドとの結合による役を果たすと考えられ、シスリガンドを免疫沈降で調べた結果、リン酸化チロシンの脱リン酸化酵素CD45がメジャーなリガンドとして同定された。 CD45自身も重要なシグナル調節分子であり、インテグリンの活性化に関与する可能性も考えられる。また、PILRの下流シグナルと走化性因子によるインテグリンを活性化するシグナルのクロストークについても現在探索中である。
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Research Products
(2 results)