2010 Fiscal Year Annual Research Report
磁性ナノ粒子を用いた血管配置及び誘導による骨格筋組織再生
Project/Area Number |
09J02784
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
秋山 裕和 九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ティッシュエンジニアリング / 筋組織 / 磁性ナノ粒子 / 磁力 / 心筋組織 / 骨格筋組織 / 細胞死 / Bcl-2 |
Research Abstract |
筋組織のような酸素・栄養要求性の高い組織体の構築は、ティッシュエンジニアリング分野における重要な課題である。そこで、本研究では、磁性ナノ粒子と磁力を用いた筋組織の構築と、遺伝子導入による再構築筋組織の生存能力向上を目的にしている。前年度において、骨格筋組織の構築に取り組み、一定の成果を得たことから、本年度では心筋組織の構築に取り組んだ。正電荷脂質包埋型磁性ナノ粒子によって、ラット新生児の心室から取得した心筋細胞を標識し、磁力により重層化することで組織化させることに成功した。なお、組織体を環状に作製することで、電気刺激による力学的評価を可能とし、組織伸展度と細胞外カルシウムイオン濃度増加に伴う筋収縮力の向上といった成熟心筋組織に見られる特性を持つことを確認した。一方、前年度試みた、骨格筋組織への血管新生因子の遺伝子導入においては、移植後の毛細血管網の形成に効果を発揮することは確認できたが、移植片の中心部において壊死部が観察された。従って、血管網の誘導以前に壊死が生じることが推測されたことから、より組織の生存能力を高める必要があると考えた。そこで、細胞死抑制に直接的に効果を持つBcl-2遺伝子に着目した。レトロウイルスベクターにより筋芽細胞にBcl-2遺伝子を導入した後、心筋組織と同様の方法によって環状の骨格筋組織を作製した。in-vitroにおいて1週間培養した後では、組織中の細胞数は、非遺伝子導入組織と比較し、1.8倍多く維持され、また、筋収縮力においては、2.0倍の向上を確認した。これらの結果から、細胞死抑制遺伝子の導入は、血管新生因子と異なるアプローチとして、筋組織の生存率向上に有効な方法であることが分かった。
|
Research Products
(3 results)