2009 Fiscal Year Annual Research Report
心筋組織修復・再生過程における生体内での組織幹細胞動態研究
Project/Area Number |
09J02800
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩倉 智彦 Osaka University, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 分化 / 心筋組織幹細胞 |
Research Abstract |
本研究は、組織内に存在する幹細胞を用いて心筋組織内の血管新生を誘導するという観点を中心とした、心筋組織の修復・再生を促すという治療戦略を確立することを目的としており、この目的を達成するために、生体内での組織幹細胞の血管内皮への分化の検討を発生工学的手法にて行うものである。これまでに、幹細胞マーカーであるTERT遺伝子のプロモーターを用いた幹細胞特異的mER-Cre-mER-TGマウスの機能確認とloxP配列を有するレポーターマウスを掛け合わせることにより得られるダブルTGマウスを作製、さらに、内皮細胞マーカーであるVE-cadherin遺伝子のプロモーターを用いた内皮細胞特異的mER-Cre-mER-TGマウスとレポーターマウスを掛け合わせダブルTGマウスの作製、マウス心筋梗塞モデルの作製手技の確立を行ってきた。また、当初の計画に加え、単離・培養し、β-galactosidase発現アデノウイルスベクターでマーキングした心筋組織幹細胞を心臓に移植することによりin vivoで分化メカニズムの解明を行うことにした。これに伴い、梗塞心への細胞移植手術の手技の確立にも取り組んできた。まず、発生工学的手法を用いた方法について、幹細胞特異的mER-Cre-mER-TGマウスの機能確認であるが、現在においてはCreリコンビナーゼのタンパクの発現が確認されておらず、作製した全11ラインにおいて検討を進めている段階である。また、細胞移植を用いた実験からは、心筋梗塞モデル作製から細胞移植への実験手技の確立に成功し、生体内において、移植した心筋組織幹細胞の血管内皮細胞への分化を免疫染色法により確認したという結果を得た。今後、これまでに同定した、分化に関わる因子を導入した心筋組織幹細胞を移植することにより、生体内での分化メカニズムの一端が解明されることが期待される。
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