2010 Fiscal Year Annual Research Report
NSAIDs依存のアポトーシス誘導機構の解明と細胞毒性の少ないNSAIDsの発見
Project/Area Number |
09J02808
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
石原 知明 熊本大学, 大学院・薬学教育部, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | NSAIDs / アポトーシス / 膜傷害機構 / 蛍光試薬 / 疎水性 |
Research Abstract |
NSAIDsによる膜傷害機構の解明と、膜傷害性のないNSAIDsの合成 これまでの我々の研究により、NSAIDs依存のアポトーシス(NSAIDs潰瘍の発症に重要)において、NSAIDsの直接のターゲットが細胞質膜であること(NSAIDsの膜傷害作用が重要であること)が分かっている。そこでこのNSAIDsの膜傷害機構を明らかにして、膜傷害(細胞傷害)性の少ないNSAIDs、即ち胃潰瘍副作用の少ないNSAIDs開発の土台を作りたいと考えた。 まずNSAIDsが膜の表面に存在するのか、あるいは脂質二重膜に深く進入しているのかを調べた。具体的には、蛍光試薬を用いて、膜の表面、及び内部の流動性に対するNSAIDsの効果を調べた。その結果、NSAIDsは膜を貫通する形で存在した。次にインドメタシンを様々な観点から(電荷状態を変化させる、疎水性を変化させるなど)化学修飾し(誘導体を作成し)、それらの膜傷害性を調べることにより、膜傷害性に預かるNSAIDsの構造(膜傷害性に関する構造活性相関)を明らかにすることを目的にした。その結果、疎水性の高さと膜傷害性がよく相関することを見いだした。一方電荷状態は余り相関しなかった。最後に我々は、最も膜傷害性の弱かった誘導体の胃潰瘍副作用を検討し、その副作用がインドメタシンに比べ、有意に弱いことを見いだした。以上の結果は、膜傷害性がNSAIDs潰瘍の発症に関与しているという我々のアイデアを支持するものであり、今後この化合物の医薬品開発を行いたいと考えている。
|
Research Products
(3 results)