2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02824
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
長谷川 和輝 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 精子形成 / 周期性 / セルトリ細胞 / レチノン酸シグナル |
Research Abstract |
セルトリ細胞は、精細管内に唯一存在する体細胞で、精子形成に必要な微小環境の形成に中心的な役割を果たしている。さらにセルトリ細胞の遺伝子発現は、I-XIIに分類される生殖細胞のステージに合わせて周期的に変化していくことが知られている。前年度までの研究で、レチノイン酸シグナルがステージVII-XIIで活性化されていることを示唆するデータが得られていたが、in vivoにおける周期的発現との関連性は不明であった。そこで、in vivoにおいてセルトリ細胞特異的にレチノイン酸シグナルを不活性化し、精子形成およびステージ依存的遺伝子発現への影響を調べたところ、ステージVII-XIIでセルトリ細胞における遺伝子発現の変化が抑制されるとともに、生殖細胞のアポトーシスが誘導されることがわかった。さらにin vivo RNAiの実験から、このアポトーシスの原因の一部は、血液-精巣関門のステージ依存的な制御の異常であることが判明した。さらにレチノイン酸シグナルの他に、Notchシグナルもステージ依存的発現パターンに関与していることを見いだしている。これらの結果は、セルトリ細胞の遺伝子発現、すなわち精子形成における周期的な微小環境の変化がどのような機構で制御されているかを示す新たな発見であり、これらの知見は、現在不可能であるex vivoでの精子形成といった不妊治療への応用が期待される。現在は、これらの研究成果を発表すべく論文を執筆中である。
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Research Products
(2 results)