2009 Fiscal Year Annual Research Report
高立体選択的リビングカチオン重合反応の開発とその応用
Project/Area Number |
09J02852
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三島 絵里 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機テルル化合物 / リビングラジカル重合 / リビングカチオン重合 / 精密制御 / 交互共重合 |
Research Abstract |
本年度は、(1)有機テルル化合物を連鎖移動剤として用いる、カチオン重合とラジカル重合とを組み合わせた共重合体の合成、(2)(メタ)アクリレートとビニルエーテルを用いた制御交互共重合の開発、を主な研究課題として取り組んだ。(1)制御・リビングラジカル重合(LRP)は、様々な官能基を持つポリマー材料の合成において必要不可欠な手法であるが、得られるポリマーの分子量・分子量分布の精密制御を可能とする一方で、利用可能なモノマーが共役モノマーや電子不足モノマーに限られる、といった問題点を有していた。当研究室ではすでに、有機テルル化合物がLRP、さらにはリビングカチオン重合の連鎖移動剤としても働くことを明らかにしてしる。本年度は、ラジカル重合とカチオン重合とを組み合わせた共重合体の合成に取り組んだ。実際に、連鎖移動剤として有機テルル化合物を用い、条件を種々検討することにより、(メタ)アクリレートとビニルエーテルとの共重合体の合成に成功した。(2)LRPではドーマント種からの可逆的なラジカル生成が重合制御の鍵となっいる。このドーマント種の活性化・不活性化の効率は重合末端ラジカルの安定性に大きく依存しており、共役モノマーにおいては一般に高い。一方、非共役モノマーで効率良く進行する重合系は極めて限られている。 (メタ)アクリレートとビニルエーテルの共重合は、そのモノマーの電子的要請のために交互共重合性が高く、その重合体の物性は極めて興味深いが、その一方で、それぞれのモノマー種から生じるラジカル種の安定性が大きく異なるためか、これまでこの共重合反応を制御して行った例はない。本年度、連鎖移動剤として有機テルル化合物を用い、(メタ)アクリレートとビニルエーテルの交互共重合を行ない、分子量および分子量分布の制御された交互共重合体の合成に成功した。これらの新しい反応の開発は、今後の高分子産業において新しい知見と技術を与えるものであると考えている。
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Research Products
(2 results)