2009 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類概日リズム形成機構の解明:in vitro, in vivo単一細胞イメージング
Project/Area Number |
09J02866
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小野 大輔 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 神経科学 / サーカディアンリズム / 視交叉上核 / 生物発光 / バイオイメージング / Synchronization / 多電極ディッシュ |
Research Abstract |
本研究は,生物発光レポーター及び多電極ディッシュ法を用い,概日リズム発振に必須であると考えられている時計遺伝子Cryptochrome(Cry)の役割を概日リズム中枢である視交叉上核(SCN)の単一細胞レベルで明らかにすることを目的としている.本年は以下の二つの実験を行った. 1,時計遺伝子Per1発現リズムの検討:Per1プロモーター下流にホタルルシフェラーゼcDNAを組み込んだトランスジェニックマウス(Per1-lucマウス)と行動リズムが消失するCry1,Cry2ダブルノックアウト(Cry1^<-/->/Cry2^<-/->)マウスを交配し,Cry1^<-/->/Cry2^<-/->の培養SCNにおけるPer1発現リズムを発光イメージングにて測定した.従来,Cry1^<-/->/Cry2^<-/->マウスのSCNではPer1発現にリズムはないと報告されてきたが,本研究では個々の細胞で有意なPer1発現リズムが認められた.また、周期は14時間から34時間まで幅広く分布し,リズム位相は個々の細胞間で脱同調していた. 2,電気活動リズムの検討:64個の電極が配置されている多電極ディッシュ上に,Cry1^<-/->/Cry2^<-/->マウスのSCNを培養し,7日~18日間,SCNニューロンからの電気活動を測定し,自発発火頻度のリズムを検討した.その結果,Cry1^<-/->/Cry2^<-/->マウスのSCN神経は,電気活動にも有意なリズムを示した.個々のニューロンの電気活動リズムは、Per1発現リズムとは異なり,同期しており,さらに途中で周期や位相が変化する不安定な性質を示した.以上の結果から,概日リズム発振にはCry1,Cry2が必要ではないこと,さらにCry1^<-/->/Cry2^<-/->マウスのSCNにおけるPer1発現リズムと電気活動リズムでは異なる細胞間連絡が存在する事を明らかにした.
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Research Products
(6 results)