2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02875
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 徹 Kyoto University, 人間・環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 室町幕府 / 荘園制 / 寺社本所領 / 奉公衆 |
Research Abstract |
本研究では、室町期に「在京領主に比重のかかった所領体制」をみいだす近年の室町期荘園制論を具体的に展開するため、そうした体制の形成過程を検討することを目的としていた。具体的には、(1)在京する勢力がどのようにして、どの程度の所領を維持、ないしは形成したか、(2)どういった勢力がどのような過程で在京化の道を選んだか、の二点を実証的に明らかにし、そのうえで、室町期の荘園制の特質を踏まえ、日本列島諸地域の状況を構造的にみる視野から、中世後期の政治・経済・社会像を示すことを目的としていた。 本年は、まず(1)に対応したものとして、南北朝期における寺社本所領(公家・寺社の所領)の推移を検討しながら、それが残存しうる地域的条件も考慮する研究をおこない、室町期荘園制における寺社本所領の位置を考察することができた。(2009年9月29日に日本史研究会中世史部会で「南北朝内乱と寺社本所領」という題目で報告するとともに、同年末に京都大学大学院文学研究科に提出,した博士論文「室町期支配体制形成史の研究」にも同名の論文を組み込んでいる)。また、(2)について、南北朝期における在京武士たちの推移を検討し、在京武士集団と「国人」に分層するかたちで室町期の支配体制の構図が形成されたことなどを明らかにすることができた。(大阪歴史学会中世史部会で、2010年1月29日に「奉公衆の形成」、2010年3月19日に「南北朝期の在京勢力と国人」という二度の報告をおこなった)。ともに、いまだ活字論文とするには至っていないが、今後室町期の支配体制、荘園制を考えるための手がかりとなる重要な成果を挙げることができたと考えている。
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Research Products
(3 results)