2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規スピン機能性デバイス創生へ向けた高周波共鳴励起スピン注入磁化反転技術の確立
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09J02886
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 達也 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 強磁性トンネル接合 / スピントランスファートルク / 高速磁化反転 |
Research Abstract |
磁性体のスピンによる不揮発な情報保持デバイスであるスピン機能性デバイスは,既存のエレクトロニクスの理論的限界を打開する可能性から注目を集めている.中でも,磁気ランダムアクセスメモリに代表される,スピン注入磁化反転(CIMS)による書き込み方式を採るデバイスは,近い将来の実現が期待されており,その実用動作域であるナノ,サブナノ秒領域での書き込み特性を理解し,反転電流の低減化や信頼性ある書き込み特性の確保等を図る必要がある.本研究は,このような課題を解決する一つの技術として,強磁性共鳴を励起した後にCIMSを行うことにより,反転電流の低減と,制御性の良い書き込み特性の確保することの両立を目指している. 前年度までに,強磁性トンネル素子の磁化反転層の磁化を,スピントルクを用いて一様な共鳴状態へ励起するための基礎検討を行った.本年度はこれを踏まえ,マイクロ波帯の交流磁界および高速パルス磁界を作用させ磁化反転層の磁化を共鳴状態へと励起するため,トンネル素子に対して誘導磁界発生回路を縦型に配置した素子の作製とスピン注入磁化反転に対する共鳴励起の効果についての検証を進めた. 誘導磁界発生回路の伝送特性評価より,20GHzに及ぶ広帯域な交流磁界および立ち上がり時間50psの高速パルス磁場の生成が可能であることが確認され,共鳴励起の効果を評価するにあたり十分な回路特性を有すことが分かった.このように,共鳴励起過程を検証するための素子作製プロセスの基盤技術の確立に成功した. なお,平成22年度9月末をもち特別研究員を辞退した都合より,マイクロ波誘導磁場による共鳴励起効果について,本研究期間中において完全に解明するには至らなかったが,当研究を通じて共鳴励起の条件の把握等々の応用上の有用な基礎的知見を得ることができた.
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Research Products
(6 results)