2010 Fiscal Year Annual Research Report
人工亜鉛フィンガーを用いたゲノムレベルでの時計遺伝子プロモーター解析
Project/Area Number |
09J02890
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 篤史 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 亜鉛フィンガー / 人工DNA結合タンパク質 / 転写制御 / 時計遺伝子 |
Research Abstract |
体内時計は細胞内での時計遺伝子群の発現リズムにより維持されていることが近年明らかにされたが、詳細な調節機構については未だ不明な点が多い。本研究は体内時計の分子機構を転写レベルで詳細に解明するために新規時計遺伝子プロモーター解析法を構築することを目的としている。 今年度は、DNA結合ドメインである亜鉛フィンガーモチーフを連結し時計遺伝子のプロモーター配列を標的とする亜鉛フィンガー型人工転写因子を創製し、時計遺伝子発現リズムへの影響について調べてきた。これまでに標的配列への高い選択性を確認している亜鉛フィンガー型人工転写因子を年次計画に基づいて、細胞内で発現させ、時計遺伝子発現リズムへの影響を観察した。その結果、人工転写因子がリズムの誘導を引き起こすことが分かった。さらにこの人工転写因子にスイッチ系を導入し、時計遺伝子への作用するタイミングを制御することで、時刻依存的にリズム位相を操作することに成功した。これらの結果は時計遺伝子プロモーター配列を標的とする亜鉛フィンガー型人工転写因子が体内時計の転写伊ネットワークに作用可能であることを示唆するものであり、世界で初めて人工分子による時計遺伝子選択的なリズム制御を行うことができたと考えられる。本研究はゲノムレベルでの新規時計遺伝子プロモーター解析手法の構築や生体リズム治療など、今後の体内時計研究における強力な分子ツールとしての亜鉛フィンガーの可能性に対する重要な知見を提供するものである。
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Research Products
(3 results)