2010 Fiscal Year Annual Research Report
針葉樹ならびに広葉樹における細胞壁微細構造の特徴:細胞壁構成成分の架橋構造モデル
Project/Area Number |
09J02904
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金 鍾植 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | グルコマンナン / キシラン / β-1-4ガラクタン / 仮道管 / 放射柔細胞 / 壁孔 / 圧縮あて材 / 免疫標識法 |
Research Abstract |
平成23年3月23日「分化中スギ(Cryptomeria Japonica)木部におけるヘミセルロースの免疫局在」の題目で博士(農学)を取得した。博士論文では、分化中スギ木部におけるヘミセルロースの堆積過程について調べた結果を示している。免疫標識法により、分化中の正常材仮道管及び圧縮あて材仮道管の細胞壁におけるグルコマンナンO-アセチル-ガラクトグルコマンナン、GGM)、キシラン(アラビノ-4-O-メチルグルクロノキシラン、AGX)、β-1-4-ガラクタンの堆積過程を調べた。また、放射柔細胞の細胞壁及び壁孔におけるGGM及びAGXの堆積過程を調べた。要旨は以下の通りである。 正常材仮道管ではS_1層形成開始とともに細胞コーナー部でGGM及びAGXが堆積し、二次壁形成中には分化段階に応じてアセチル化度の異なるGGMや側鎖構造の異なるAGXが堆積した。放射柔細胞壁では仮道管のS_1層形成開始とともにGGMが堆積したが、AGXの堆積はGGMのそれに遅れた。壁孔壁では形成初期においてGGMが堆積したが、成熟に伴い消失した。AGXの堆積は、壁孔壁の形成のどの段階においても見られなかった。圧縮あて材仮道管では、GGMは二次壁の全域にほぼ均一に堆積したが、AGXは主にS_1層やS_2層の内側部分に堆積した。S_2層の外側部分ではAGXの堆積があまり認められなかった。一方、β-(1-4)-ガラクタンやリグニンはS_2層の外側部分で顕著な堆積を示した。これらの結果により、分化中のスギ細胞壁における各種のヘミセルロース堆積パターンが、細胞の種類や壁層の違いにより異なることが示された。さらに、細胞壁の形成段階ごとにアセチル化度や側鎖構造の異なるヘミセルロースが堆積することが示唆された。 これらの内容はPlantaに5編の論文として掲載された。
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Research Products
(8 results)