2009 Fiscal Year Annual Research Report
活性化Wntシグナル強度の亢進が胃がん発生に及ぼす役割の研究
Project/Area Number |
09J02921
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小熊 圭祐 Kanazawa University, がん研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 胃がん / Wntシグナル / 炎症反応 / マクロファージ / TNF-α |
Research Abstract |
異常なWntシグナルの活性化は発がんの原因として重要であり、胃がんにおいても30~50%の症例でWntシグナルが活性化している。また、胃がんの発生にはHelicobacter pylori感染による慢性炎症が関与しているが、慢性炎症反応による胃がん発生の分子機序には不明な点が多い。これまでに私は、活性化マクロファージが産生するTNF-αが、胃がん細胞において活性化しているWntシグナルをさらに亢進させることを報告している。そこで、TNF-αによるWntシグナル亢進が、腫瘍細胞の腫瘍原性を高めて胃がん発生につながるとの仮説を立て、昨年度は本仮説を検証する実験を2種類に分けて行った。第1に、所属研究室にて樹立されている胃がんモデルマウスにTNF-αの中和抗体を投与後、Wntシグナルの転写因子であるβ-cateninを免疫染色やWestern blottingなどで解析した。その結果、胃がん組織における活性化型β-catenin量の減少が認められ、in vivoでもTNF-αがWntシグナルを亢進させていると考えられた。現在、TNF-αノックアウトマウスと胃がんモデルマウスを交配させており、胃がんにおける、TNF-αによるWntシグナル亢進の役割を解析する予定である。第2の実験はTNF-αによるWntシグナル亢進機序の解析である。胃がん細胞と大腸がん細胞を併用した実験から現在示唆される機序として、APCなどが関与するβ-cateninのリン酸化をTNF-αが抑制することが考えられた。現在、APC欠損大腸がん細胞株にAPCを再導入し、TNF-α存在下/非存在下でのWntシグナルを解析中であり、胃がん細胞におけるTNF-αによるWnt亢進機序の一部を明らかにできると考えている。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Induction and down-regulation of Sox17 and its possible roles during the course of gastrointestinal tumorigenesis.2009
Author(s)
Du YC, Oshima H, Oguma K, Kitamura T, Itadani H, Fujimura T, Piao Ys, Yoshimoto T, Minamoto T, Kotani H, Taketo MM, Oshima M.
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Journal Title
Gastroenterology 137
Pages: 1346-1357
Peer Reviewed
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