2011 Fiscal Year Annual Research Report
ハーフメタルを用いた革新的スピントランジスタの創製
Project/Area Number |
09J02936
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大平 祐介 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スピントロニクス / スピントランジスタ / ハーフメタル / ホイスラー合金 / 強磁性トンネル接合 |
Research Abstract |
電荷に加えて、電子スピンを制御するスピントランジスタは,スピントロニクス分野において実現が強く求められている.本研究では、スピントランジスタ実現のために、新しい動作原理に基づくトランジスタ構造を独自に考案した.基本構造は、ハーフメタルCo_2MnSiを電極とする二重の強磁性トンネル接合(二重MTJ)である.ハーフメタルであるCo_2MnSiを用いることで,大きな磁気電流比と大きなON/OFF比とを兼ね備えたスピントランジスタが実現できる. 前年度までの研究により,ゲート電圧の印加により,ドレイン電流の過渡応答が観測されることがわかった.また,過渡応答から磁気電流比とON/OFF比の評価を行った結果,磁気電流比が最大で215%,ON/OFF比は最大2920(いずれも低温)という値を得ることに成功した. 過渡応答の形状がRC直列回路のそれと同様の形状をしていることから,トンネル障壁層の抵抗とゲート電極を構成する容量(ゲート容量)とが素子の出力を決定するパラメータになると考えられる.そこで本年度は,トンネル障壁層とゲート電極を構成するMgO層の膜厚を変化させながら素子の作製・評価を行った.評価の結果,磁気電流比の大きさはその素子のTMR比の大きさに対応することがわかった.ON/OFF比に関しては,素子のTMR比の大きさに加えて,ゲート容量が大きくなると大きなON/OFF比が得られるということが明らかになった. 素子のTMR比を向上させることができれば,さらに大きな磁気電流比とON/OFF比とを得ることができる.TMR比の向上のために,スピントランジスタを構成する二重MTJの,Co_2MnSiとMgOの界面へ極薄のCoFe層の挿入を試みた.上部界面,下部界面それぞれにおいて挿入するCoFe層の最適化を行った.最適化の結果,CoFe層なしでは40-60%程度(室温)であったTMR比を,最大で134%(室温)まで向上させることができた.
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Research Products
(5 results)