2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02937
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久保 瑞日 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 『家庭教育』 / 19世紀末フランス / 週刊誌 / 『ル・プチ・エコー・ド・ラ・モード』 / 女子中等教育 / 公教育化 / 子ども / 母親 |
Research Abstract |
本研究は、19世紀末、すなわち第三共和政期前半(1880-1905)のフランスにおける「家庭教育」像を、雑誌史料を手がかりとして探るものである。具体的には、公教育体制の成立や階層構造の変化を背景としで、「家庭教育」のあり方が階層によって大きな異なりをみせていく様子を、『ラ・ファミーユ』La Famille (1879-1921)、及び『ル・プチ・エコー・ド・ラ・モード』Le Petit Echo de la Mode (1879-1983)(以下、『プチ・エコー』)二誌の比較を通して考察している。 (1)女子中等教育と「家庭教育」 女子を対象とした「家庭教育」像が、カミーユ・セー法成立(1880)に象徴される女子中等教育の公教育化を背景にどのような様相を呈したかについて考察を行った。その結果、「家庭教育」が中等教育を受ける年頃の娘の人間形成において大きな役割を果たしていたこと、女子中等教育の公教育化とそれに伴う教会権力の衰退をきっかけとして、「家庭教育」を下位階層へ広めようとする動きがメディアにみられたことを明らかにした。 (2)子どもを対象とした「家庭教育」像 すでに研究を進めてきた週刊誌、『ラ・ファミーユ』に比べて、極めてブルジョワ的な指南雑誌であった『プチ・エコー』が、子どもを対象とした「家庭教育」をどのように描いているのかについて考察した。その結果、『プチ・エコー』は、主に道徳面でのしつけを中心とし、子どもの健康維持や衛生管理も視野に入れた「家庭教育」を行っていたこと、(母)親は毅然とした態度で子どもに接するべきであるとされ、子どもは彼らに敬意や服従心を持たねばならないとされたことなどが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)