2009 Fiscal Year Annual Research Report
COP9シグナロソームの新規制御機構の解析:mRNAプロセシングへの関与
Project/Area Number |
09J02952
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安喜 史織 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 植物分子遺伝学 / 配偶体形成 / タンパク質相互作用 / mRNAプロセシング / タンパク質分解 |
Research Abstract |
研究代表者は、多くの情報伝達を制御する核内タンパク質複合体であるCOP9シグナロソーム(CSN)の新規制御機構解明を目的として、CSN1サブユニットと、スプライシング機構に関与するSAP130(spliceosome-associated protein 130)との結合に着目し、モデル植物シロイヌナズナを用いて解析を行っている。 まず、SAP130遺伝子の機能を明らかにする目的で、SAP130プロモーター発現解析を行った結果、花器官のある特定の時期の葯に特異的なプロモーター活性を検出した。さらに詳細な解析の結果、その活性は花粉と発達中の葯に特異的な組織であるタペート組織にあることを明らかにした。また、RNAi法を用いて作製したsap130発現抑制株の形態学的解析より、sap130発現抑制株は多面的かつ緩やかな表現型を示す一方、非常にシビアな種子数の減少を示すことを明らかにした。花粉の観察、および野生株との交配実験により、この種子数の減少は雌雄両方の配偶体形成異常によるものであることを明らかにした。これらの結果から、SAP130遺伝子は雌雄両方の配偶体の発達に重要な因子であることが示唆された。また、酵母のsap130変異体ではsmall GTPaseをコードするSAR1遺伝子のスプライシング異常が報告されており、シロイヌナズナsap130発現抑制株においてもSAR1遺伝子のスプライシングの状態を解析したが、異常は認められなかった。今後、sap130発現抑制株における配偶体形成のより詳細な形態学的解析と、配偶体形成に関わるSAP130遺伝子の制御機構を明らかにするべく解析を進める。 次に、CSN1-SAP130結合欠損変異体の作製に向けて、それぞれのタンパク質の詳細な結合部位の特定を行った。大腸菌発現系によるCSN1およびSAP130両因子のdeletionタンパク質を用いたin vitro結合解析の結果、CSN1のアミノ末端領域(1-108 aa)とSAP130のカルボキシル末端領域(1129-1214 aa)が結合に重要であること示した。また、CSN1-SAP130結合欠損変異体の作製を行うにあたり、CSNとSAP130はともに普遍的な機構に関わる因子であるため、最小限(アミノ酸レベル)の変異を導入することがCSN1-SAP130結合欠損変異体の作製には重要であると考えた。その手がかりとして現在、両タンパク質が結合した状態での結晶構造解析を進めている。構造が決まり次第、CSN1およびSAP130両方の結合に必要な部位にアミノ酸変異を導入した植物体を作製と解析を行う。
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