2010 Fiscal Year Annual Research Report
非溶媒と接触した高分子界面におけるナノ溶解・膨潤層の形成機構解明と応用展開
Project/Area Number |
09J02961
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新 史紀 九州大学, 大学院・工学府材料物性工学専攻, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ポリメタクリル酸メチル / 中性子反射率測定 / 非溶媒 / 表面 / 界面 / 薄膜 / 凝集状態 / ダイナミクス |
Research Abstract |
高分子固体の表面および界面はバルクと異なるエネルギー状態にある。そのため、表面および界面の構造および物性はバルクと比較して著しく異なっている。これまで、測定手法の困難さなどの理由から、液体すなわち非溶媒環境下における高分子固体の構造および物性についてはほとんど検討されていない。そのため、非溶媒環境下における高分子固体中における分子鎖の凝集状態およびダイナミクスは科学的にとても興味深い。本研究では、非溶媒環境下におけるポリメタクリル酸メチル(PMMA)膜の凝集状態について検討した。 これまでに、水環境下におけるPMMA膜の凝集状態を中性子反射率(NR)測定に基づき評価し、熱処理の影響について検討した。その結果、熱処理の有無によって水環境下での凝集状態は大きく異なった。この凝集状態は水と接触する前の膜中における分子鎖の凝集状態と密接な関係があることを明らかにした。また、メタノール環境下におけるPMMA膜の凝集状態の膜厚依存性についても評価した。その結果、膜の凝集状態は空気中での膜厚に依存することが明らかとなった。さらに、用いたPMMAの非摂動鎖の広がり程度以下の膜厚を有する超薄膜では顕著な膨潤が観測された。その凝集状態の変化から超薄膜中における分子鎖の凝集状態を明らかにした。 得られた結果は、液体環境下における高分子固体の凝集状態やダイナミクスの理解に繋がるため、意義があるといえる。また、医療材料をはじめ液体環境下で使用される高分子材料は多いため、それらの高機能化、また新規機能性材料への重要な設計指針にもなり得る。これらのことから本研究は科学的にも工業的にも重要性が高いといえる。上述の結果は論文3報として2011年5月までに投稿する。
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Research Products
(1 results)