2009 Fiscal Year Annual Research Report
高機能自閉症児の自他認知の発達とその支援―脳波計測による療育の評価―
Project/Area Number |
09J02967
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤田 玲子 Kyoto University, 霊長類研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 自他の認識 / 事象関連電位(ERP) / 手書き文字 / 高機能自閉症 |
Research Abstract |
実験室が設置されていた建物に対して、申請時には決定していなかった耐震補強工事が決定し、平成21年度は2度にわたり実験室移設とそれ伴う実験環境の立ち上げをすることを迫られた。脳波計測は実験室の電気上の環境により、計測時に脳波データ上にノイズが生じてしまうことがあり、正確なデータを収集するために、成人を対象として予備的な脳波計測を行い、ノイズがデータに与える影響について状況を把握し、結果に応じてシールドの強化や配線の変更を随時施した。実験室の移設後、自他認識について脳波計測を用いて検討した。 高機能自閉症児は自他の知覚に困難を示すことが示唆されているが、そのメカニズムについては統一されて見解がなされていない。そこで、行動指標だけでなく、生理指標についても検討が必要であると考え、自己・他者関連刺激を観察時に脳波計測を導入することを目標として、21年度は成人、定型発達時の子どもを対象に実験を実施した。具体的には、自己の文字、他者の文字を観察中の脳波を計測した。自他識別課題遂行中に、自分の文字と他者の文字で、親近性の高さの違いを反映する N170、P250の振幅に有意な違いが生じることがわかった。この結果は自他の識別課題の正確さには関係なかった。さらに課題を言葉の黙読にしても、親近性の高さ反映するP250で他者の文字に比べて、自分の文字を観察している時に大きくなることが示された。小学生を対象に実験を実施したが、参加人数が2名と少ないため、今後実験を進め、発達や学習の効果を検討し、自己認識の発達状況を検討する予定である。
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Research Products
(3 results)