2009 Fiscal Year Annual Research Report
痒み発生のキーシグナル解明と栄養成分による痒みの制御
Project/Area Number |
09J02970
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
秋本 頼子 Kyushu University, 農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | compound 48 / 80 / SCH23390 / ドーパミン / L-DOPA / 痒み / 引っ掻き行動 |
Research Abstract |
痒み感覚の発生と神経伝達のメカニズムを明らかにするために以下の内容で研究を行い、成果を得た。 末梢性の痒み誘導物質であるcompound48/80(C48/80)と中枢における神経伝達物質ドーパミン(DA)受容体や各種モノアミンとの関係について調査するために下記の2実験を行った。実験にはすべてICRマウスのオスを用いた。 (1)DA受容体D_1R選択的拮抗薬SCH23390とC48/80由来引っ掻き行動の関係 C48/80投与によって引き起こされた引っ掻き行動がSCH23390の大槽内投与(1.0μg)によって有意(P<0.05)に抑制され、C48/80由来の引っ掻き行動には中枢におけるD_1Rの活性化やDA放出が関与している可能性が示唆された。 (2)L-DOPA投与によるC48/80由来引っ掻き行動への影響とC48/80投与による脳内モノアミン代謝回転の変化L-DOPAを投与することで脳におけるDA放出やDA含量が増加することが知られている。C48/80由来の引っ掻き行動がL-DOPA腹腔内投与(50mg/kg体重)によって有意(P<0.05)に抑制された。さらに脳幹において対照群に比べC48/80投与群でNEの代謝回転が有意(P<0.05)に増加していることが明らかとなった。 以上の結果から、C48/80由来の引っ掻き行動には脳幹におけるDA代謝やNE神経系が関与していることが示唆された。痒み感覚発生の場は脳幹であり、その伝達にはモノアミン類が関与している可能性が高い。本研究で得られた成果により、末梢性痒み物質由来の引っ掻き行動と中枢におけるDA受容体やモノアミン含量との関係が初めて明らかとなった。痒みのキーシグナルの解明には多様な痒みにおいて共通の物質の関与を明らかにすることが重要であり、中枢性の痒み物質を用いた過去の報告と合わせ、今回の研究は非常に重要な知見を認めたと考えられる。
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Research Products
(1 results)