2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02989
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
赤木 剛士 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | カキ / プロアントシアニジン / Myb転写因子 / 量的ジェノタイピング / real-time PCR / 種間比較ゲノム解析 |
Research Abstract |
本年はreal-time PCR法を用いた倍数体植物でのジェノタイピングを開発し,また同時に二倍体近縁種を用いた種間比較ゲノミクスを適用する事で,六倍体であるカキの有用なゲノム解析を可能にした.品種および交雑後代における甘渋性決定遺伝子座(AST)周辺連鎖領域のジェノタイピングを行い,その最大の成果としてカキのAST遺伝子座の存在領域を特定して候補遺伝子の同定に成功した.現在は形質転換によってその機能の解明目指している.これによってカキという植物においてユニークかつ重要な甘渋性という形質の根本的な決定機構が決定される事が期待できる. また,カキの渋味性の原因となるプロアントシアニジン(PA)の蓄積については植物種を問わず未解明な部分が多く,その機能性からも注目を集めるトピックであるが,申請者は現在までにカキにおけるPA蓄積に関する基礎的分子機構の多くを解明してきた.その研究において,カキのPA生合成経路の発現を総括的に制御する転写因子DkMyb4を同定し,完全甘ガキにおいてはその季節的な発現低下によって下流PA生合成経路遺伝子の発現も同調的に停止して,結果としてPA蓄積機構を果実生育中に失う事が示唆された.また,その季節的発現制御が環境温度とAST遺伝子の両方に依存する事を示し,その調節にアブシシン酸(ABA)シグナルが関係する事を明らかにした.現在,ABAシグナルを介してカキの甘渋性に影響を与える分子機構の解明に挑んでおり,予備的なで結果ながらbZIP様転写因子が関係している事を示唆している.これらはカキのPA蓄積の基礎情報となるだけでなく,モデル植物を用いたPA蓄積研究にも大きく影響を与えるものである.
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Research Products
(9 results)