2010 Fiscal Year Annual Research Report
木材の老化機構の解明とその応用―古材の材質変化の解析―
Project/Area Number |
09J02994
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松尾 美幸 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 古材 / 熱処理 / 経年変化 / 材質評価 / 反応速度論 |
Research Abstract |
1.これまでの研究で、ヒノキ材の経年および熱処理に伴う色変化に対して速度論的解析を適用することに成功し、経年にともなう色変化は熱酸化反応として基本的に説明できるとの結論を得ている。本年度は、木材の老化における樹種間の比較をするために、ケヤキ材およびスギ材の熱処理を行い、基礎物性および力学特性を測定した。そのうち、色変化についてヒノキ材同様に速度論的に解析を試みたが、ヒノキ材やセルロースの色変化では見られなかった、処理温度の違いによる色変化の傾向の違いが見られた。従って、解析法の工夫や、色変化に関与する成分の評価が必要であり、現在検討中である。また、昨年度物性を測定したケヤキ古材について、放射性炭素年代法により年代を測定した。その結果、人文的年代と異なる放射性炭素年代をもつ試料があった。経年に伴う有意な物性変化があるか否かを結論づけることはできなかった。今後、試料数を増やして物性試験に供する予定である。 2.昨年度より、木材の熱処理技術の応用として、書道用紙としてよく用いられる中国宣紙を熱処理し、経年変化した紙と同様の優れた性質を示す紙を人為的に作成することを試みている。本年度は、原料比や製法の違う中国宣紙を試料として熱処理を行った。宣紙の種類に関わらず、熱処理に伴う色および吸水性、浸透性の変化に関して、同様の傾向を示すことがわかった。また、実際に経年した試料として製造年の明らかな宣紙を入手し、熱処理をした宣紙と物性の比較を行ったところ、色に関して、経年および熱処理に伴って同様の変化を示すことがわかった。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Aging of wood: Analysis of color changes during natural aging and heat treatment2011
Author(s)
M Matsuo, M Yokoyama, K Umemura, J Sugiyama, S Kawai, J Gril, S Kubodera, T Mitsutani, H Ozaki, M Sakamoto, M Imamura
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Journal Title
Holzforschung
Volume: (掲載確定)
Peer Reviewed
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