2009 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙における高エネルギー粒子の生成・加速機構の実験的研究
Project/Area Number |
09J02995
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
赤池 陽水 Waseda University, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 宇宙線 / 高エネルギー電子 / 高エネルギーガンマ線 / 気球実験 / 国際宇宙ステーション / シミュレーション計算 / 地球磁場 |
Research Abstract |
高エネルギー宇宙線の起源・伝播機構の解明や暗黒物質の探査などを主目的とする宇宙線観測装置の開発を実施している。この装置(CALorimetric Electron Telescope : CALET)は、国際宇宙ステーション(ISS)に搭載予定で、2013年の打ち上げが予定されている。観測対象は宇宙線電子成分(1GeV-10TeV)、ガンマ線(10GeV-10TeV)及び陽子・原子核成分(10GeV-1000TeV)で、高エネルギー領域における長期間の直接観測を目指している。本年度は、このCALETの実現のために、(1)開発要素の技術実証のために気球搭載型のプロトタイプ検出器の開発・観測と、(2)観測装置の性能評価・最適化のためのシミュレーション研究を行った。 (1)ISS搭載用に開発した要素を組み込んだCALETのプロトタイプとしてbCALET-2(Balloon-Borne CALET2号機)を開発し2009年8月、大樹航空宇宙実験場にて観測を実施した。高度35kmのレベルフライトで約2.5時間の観測に成功し、約12.000例のイベントを取得した。現在詳細な解析を行っているところであるが、シミュレーション計算による予測と良い一致が確認されており、また10GeV以上の領域において、これまでの観測と矛盾しない電子のFluxが得られている。 (2)モンテカルロ法に基づくシミュレーション計算により、粒子識別能やエネルギー分解能などの基礎的な観測性能を評価し、CALETが観測目的を達成する十分な性能を有することを確認した。また、ISSの高度におけるAlbedoを含めた宇宙線のFluxを地球磁場、大気を考慮して推定し、検出効率を考慮した上で実際の観測で見込まれるトリガーレートを推定し、最適なトリガー条件を考案した。
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