2010 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙における高エネルギー粒子の生成・加速機構の実験的研究
Project/Area Number |
09J02995
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
赤池 陽水 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 宇宙線 / 高エネルギー電子 / 高エネルギーガンマ線 / 国際宇宙ステーション / シミュレーション計算 |
Research Abstract |
国際宇宙ステーションにおける宇宙線観測計画CALorimetric Electron Telescope(CALET)は、高エネルギーの電子、ガンマ線、陽子・原子核成分の詳細な観測から、宇宙線の起源・伝播機構の解明や、暗黒物質の探査などを目指している。本研究では、シミュレーション計算や加速器試験を通じてCALETの実現を目指している。本年度は、詳細なCALETのシミュレーション研究の実施に加えて、シミュレーション計算自体の精度の検証、及び装置性能の検証・開発改良を目的とするビーム試験を、欧州原子核機構(CERN)のSPS加速器、及び放射線医学総合研究所の重粒子加速器(HIMAC)において実施した。(1)CERN実験では、μ粒子(150GeV)、電子(6-200GeV)のビームを用いて、CALETのプロトタイプとなる検出器による照射試験を行った。エネルギー測定に重要な各検出器におけるシャワー粒子数や、粒子識別に重要なシャワー形状の解析、トリガー効率、シャワー開始位置の同定などにおいて、実験データとシミュレーションで非常に良い一致を確認している。(2)HIMACにおける試験では、Feの500MeV/uを用いて、CALETが電荷測定に用いるプラスチックシンチレータとシンチレーティングファイバーの電荷測定性能を調べた。特に、これらのクエンチング効果の評価は、粒子識別の点で重要な要素であり、Tarleが提唱している式を用いることで、定量的に評価できることを確認した。これらビーム試験で得られたデータは、CALETに向けたシミュレーション研究の精度向上、及びCALETの解析手法の検証といった点で、大きな成果が得られている。
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