2011 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙における高エネルギー粒子の生成・加速機構の実験的研究
Project/Area Number |
09J02995
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
赤池 陽水 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 宇宙線 / 高エネルギー電子 / 高エネルギーガンマ線 / 国際宇宙ステーション / シミュレーション計算 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高エネルギー宇宙線電子成分の観測により、近傍加速源や暗黒物質の探索を行うことである。このために、電子観測に最適な検出器を開発し、国際宇宙ステーション(International Space Station:ISS)における本格的な宇宙線観測計画(CALorimetric Electron Telescope:CALET)を進めている。高精度な電子観測を実現するためには、検出器に優れたエネルギー測定性能とバックグラウンドとなる陽子との強力な粒子識別性能が要求される。CALIETはこれらを実現するために厚いカロリメータ型の検出器を採用しており、これまでにシミュレーション計算を通じて、潜在的に高い観測能力を持つことを示している。本年度はこれらを実証するために、欧州原子核機構(CERN)におけるSPS加速器を用いたビーム試験を実施した。電子10-290GeV、陽子30-350GeVのビームをCALETのプロトタイプとなる検出器に照射し、シャワーの粒子数分布やエネルギー分解能、粒子識別において重要なパラメータとなるシャワーの横拡がりや遷移曲線について、電子、陽子の各粒子、各エネルギーにおける実験データの解析を進めている。これらの実験データは、CALETにおける開発要素の技術実証やISSにおける観測性能の実証に加えて、シミュレーション計算で再現することにより、CALETの解析手法の検証やシミュレーション計算自体の精度向上の点で大きな成果が得られている。また今回のビーム試験では、高統計の陽子イベントを取得しており、今後さらに詳細に解析を進めることで、シミュレーション計算において最も不定性の大きいハドロン相互作用モデルについて、CALETに最も適したモデル選別の検証も実施する予定である。
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