2009 Fiscal Year Annual Research Report
看護場面における違反行動の発生メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
09J03002
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安達 悠子 Osaka University, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 医療安全 / 看護 / 違反行動 / 安全教育 |
Research Abstract |
本研究は,手袋をしないまま素手で処置をするといった看護業務における違反行動が起こる発生メカニズムの解明と違反行動の防止に資する安全教育の提案を目的としている。 発生メカニズムの解明に関しては,違反への態度に注目してその測定を試みた。測定には,既存の手法であるImplicit Association Test(以下,IAT)を利用した。これはパソコン課題の様相をした手法である。本年度は,まず信号無視などの日常場面の違反への態度を測定するIATを作成した。大学生約40名を対象に実施してツールとしての妥当性と信頼性を検証したところ,違反への「不快さ」が強いほど違反行動を取りにくい等の一定の妥当性と信頼性が確認された。そこで,次に看護場面の違反を測定するIATを現役看護師等の協力を得ながら作成した。看護部の大学生約70名を対象に実施することでツールとしての妥当性と信頼性を検証した。これらを踏まえ,来年度は本年度に作成した看護場面の違反を測定するIATを一部改善しながら現役看護師を対象に実施し,従来の違反行動に関する研究で重要とされてきたリスク評価やベネフィット評価との関連を見ていく。 安全教育に関しては,現在病院で看護師が受講するヒューマンファクター関連の安全教育の実態はほとんど明らかにされていない。その実態を把握することは,現場の実態に即した安全教育の提案につながると考えられる。そこで,本年度は5つの病院の看護師教育担当者等に対してインタビュー調査を実施した。その結果,看護師が受講するヒューマンファクター関連の安全教育は,重要性は認知されているものの,その実施の仕方が分からず現場では戸惑いを感じていることが明らかになった。また,実技訓練やロールプレイ,グループワーク等の形式は問わないが,受講者が参加できる研修が望まれていることが報告された。これらを踏まえ,来年度はIATを安全教育への導入に使用する可能性を検討していく。
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Research Products
(4 results)