2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウス嗅覚系における神経活動に依存した高次回路形成機構の解明
Project/Area Number |
09J03035
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 展子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | マウス嗅覚系 / 高次神経回路形成 / シナプス / OSN / 神経活動依存性 / 可視化 / Sema7A / M/T cell |
Research Abstract |
マウス嗅覚系における、一次神経(OSN)と二次神経(M/T cell)の神経接続に関してOSN由来の神経活動が与える影響についての現象を見出し、その分子メカニズムを明らかにすることを目標とする。まずM/T cellの自律的発生を把握すべく一部のOSNが遺伝的に欠損した変異マウスを用い、M/T cellの発生を観察、その自律性とOSNとの相互作用の必要性を把握した。そして、OSNが与える影響の中で一次投射において重要であったOSNの神経活動の影響を、CNGチャネルのヘテロKOメスマウスを用い、同一ORを発現するがCNGの発現の有無で隣接した糸球に繋がるM/T cellの形態を単一細胞レベルで可視化した。M/T cellのdendriteの形態形成の基盤としてシナプスの形成に着目し、シナプスマーカーの染色や電子顕微鏡を用いてシナプス構造の観察も調べ、異常を見出し、神経活動が紳経接続に与える影響を把握した。そして、神経活動の下流で機能する分子としてOSNで発現するSemaphor in7Aに着目した。その発現がOR/activity依存的であること、シナプスに局在することを免疫電顕法を用いて調べ、Sema7AKOマウスにおいてシナプス形成の異常を見出した。また、特定の糸球に投射するM/T cellを単一細胞レベルで可視化、その異常も見出した。相互作用する相手分子をM/T cellで見出し詳細な発現解析も行った。あまり着目を受けていなかった、嗅覚系の主たる情報伝達を担うM/T cellの回路形成を発生期におけるM/T cellの可視化により回路形成機構を解明しようという試み自体が新しく、これらは今までOSNでなされた研究を一次神経の寄与を加味しつつより高次へ発展させるものである。また一次と二次神経それぞれに発現し、別の神経種をまたいで相互作用し、シナプス形成に関与する分子、機構に関する示唆も得られたという点で重要性は高い。これらの知見を踏まえ、また利用し、どのようにしてより高次な神経回路を一次神経からの初経活動に依存して精緻化していくのかを解明していきたい。この嗅覚系にとどまらず神経回路形成機構の解明という点で重要である。
|
Research Products
(1 results)