2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患病態におけるナトリウム-カルシウム交換系の創薬的意義に関する研究
Project/Area Number |
09J03044
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梨子田 哲明 Osaka University, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Na^+ / Ca^<2+>交換系 / 細胞内Ca^<2+>濃度 / 一酸化窒素(NO) / パーキンソン病 / MPTP / 酸化ストレス / 神経細胞死 / ドパミン |
Research Abstract |
一酸化窒素(NO)関連病態として注目されるパーキンソン病のin vivo、in vitroモデルを用い、神経変性疾患病態時におけるNa^+/Ca^<2+>交換系(NCX)の役割を明らかにすることを目的に検討を行った。 研究計画を基に、1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine(MPTP)誘発ドパミン神経障害モデルマウスを用い、選択的NCX阻害薬SEA0400の保護効果の有無について検討すると共に、障害時におけるNCXの発現ならびにNCX関連シグナルを解析した。またSH-SY5Y細胞を用いて、NOによる細胞障害へのNCXの関与を解析した。 具体的には、MPTP処置による黒質および線条体のドパミン神経障害、ならびに運動協調機能低下を指標に、in vivoにおけるSEA0400の作用を評価し、黒質ドパミン神経に対する有意な保護作用と、運動機能改善作用を見出した。またMPTP処置時のNCXの発現には変化が認められなかったものの、細胞内Ca^<2+>増加の下流シグナルと考えられるextracellular signal-regulated kinase(ERK)の活性化がSEA0400によって抑制されることを見出した。これらの結果は、MPTP誘発ドパミン神経障害におけるNCXの関与を初めて明らかにしたものである。さらにSEA0400の作用メカニズムについて、SH-SY5Y細胞におけるNO誘発神経障害モデルを用いて追究した結果、NOが細胞内Ca^<2+>濃度を上昇させること、また本作用をSEA0400が抑制することを見出した。以上の成績は、NCXを介したCa2+流入がNO誘発細胞障害の引き金になることを示唆しており、in vivo MPTPマウスモデルでのSEA0400のドパミン神経障害保護機構の一端を担う可能性が示された。
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Research Products
(3 results)